第96回選抜高校野球大会の準々決勝が28日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場であった。星稜(石川)は阿南光(徳島)に5―0で勝利した。石川県勢初の選抜大会4強入りだ。 星稜は30日午前11時から、準決勝で健大高崎(群馬)と対戦する。 ■初先発…

 第96回選抜高校野球大会の準々決勝が28日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場であった。星稜(石川)は阿南光(徳島)に5―0で勝利した。石川県勢初の選抜大会4強入りだ。

 星稜は30日午前11時から、準決勝で健大高崎(群馬)と対戦する。

■初先発初完封、「18番」の戸田投手

 (28日、第96回選抜高校野球大会準々決勝 星稜5―0阿南光)

 「先発も完封も初めて」。星稜の背番号18、戸田慶星(けいた、2年)が完封勝利でチームを準決勝へ導いた。

 二回まで相手を三者凡退に抑えた。三回は犠打などで得点圏に走者を許したが、打たせて取った。その後も点を許さず、被安打2で締めた。

 公式戦の先発は高校では初めて。完封に「うれしいです」と笑顔で語った。

 この成果には、冬場の努力があった。

 最後に活躍したのは昨秋の公式戦だった。明治神宮大会は同級の投手、道本想(2年)の活躍をベンチで見守った。優勝したが、「悔しい思いもあった」。

 制球力と球速を高めたいと、筋力トレーニングに取り組み、地道にスクワットなどを続けた。下半身が強くなり、球速は5キロ速くなった。今は最速143キロだ。「冬、黙々と1人で練習していた。その努力は見ていた」と、芦硲(あしさこ)晃太主将(3年)も語る。

 選抜大会の初戦、戸田は七、八回に登板し無失点に抑えた。だが「制球面で思うようにはいかなかった」と言う。26日夜、山下智将監督(42)から先発を伝えられた。エースの佐宗翼(3年)らからアドバイスを受けて臨んだ。

 この日の準々決勝。「初戦の経験があって、少し楽になった」とリラックスしてマウンドへ。「打撃はあんまり得意ではない」と言いながら、二回には適時打で1点を追加した。

 七回には疲れが出てきたが、「いけるところまでいこう」という監督の声に押され、九回にギアを入れ直した。

 芦硲は「もう出来すぎぐらいの投球をしてくれたので、ほんとに感謝しています」。次は準決勝だ。戸田は「一つずつ勝って、日本一を取れるようがんばりたい」と意気込んだ。(小崎瑶太)