【千葉】第96回選抜高校野球大会第9日の28日、中央学院は準々決勝の第3試合で、4打点の青木勝吾選手(3年)の活躍などもあり、5―2で青森山田を破って、初の4強進出を決めた。30日の準決勝第2試合(午後1時半開始予定)で報徳学園(兵庫)と…

 【千葉】第96回選抜高校野球大会第9日の28日、中央学院は準々決勝の第3試合で、4打点の青木勝吾選手(3年)の活躍などもあり、5―2で青森山田を破って、初の4強進出を決めた。30日の準決勝第2試合(午後1時半開始予定)で報徳学園(兵庫)と対戦する。(杉江隼)

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 (28日、選抜高校野球大会準々決勝 中央学院5―2青森山田)

 のしかかっていた雲が一気に晴れたようだった。

 1点先制された直後の二回表。2死一塁で9番打者の上村晃平選手(3年)に打席が回った。2試合続けて2桁安打の中央学院で唯一、安打が出ていなかった。

 「打てなくても、足を使ってバント」。初球、セーフティーバントを試みたがファウル。ヒッティングに切り替えた後の4球目。見逃せばボールかという高めの直球を、逆方向を意識してたたいた。低い弾道の打球は左前へ。一塁まで駆け抜けると、ほっとした表情でベンチを見た。「うれしさよりほっとした気持ちが強くて」。だが、ベンチに戻ると感情を爆発させた。

 「自分がチームのブレーキになっている」。初戦は二度のチャンスをいかせずに途中交代。次戦も犠打は決めたが3打数で無安打。「怖かった。バットを振っても、見逃しても不安な気持ちがずっとあった」。打席を重ねる度に、どんどんとその怖さや焦りが増していった。

 これまでも打撃が課題だった。大会前には体調を崩し休んだ。打撃のスランプも重なり、不安の中で甲子園に来た。

 「一人になると落ち込む」。弱気になる上村選手を仲間たちは放っておかなかった。打撃練習中、飯山成夢選手(3年)が「打てるっしょ。大丈夫だよ」と背中を押してくれた。他の選手も無安打を笑いに変えてくれた。「暗い表情になっていたみたいで。周りも気遣って話しかけてくれた。仲間に感謝です」

 送りバントの失敗や守備のエラーなど、試合では失敗もあった。「今日は満点とは言えないが、攻めたプレーでのミスはしょうがない」。もり立ててくれる声が支えになった。「かっこよさは求めていない。ヒットじゃなくても塁に出る。自分の仕事をしていきたい」

 悩んでいた姿がうそみたいに、晴れ晴れとした笑顔でそう言った。(杉江隼)