降り続ける雨にも、コントロールは乱されない。打者と向き合う188センチの体はこの日、いっそう大きく見えた。第96回選抜高校野球大会の準々決勝に臨んだ報徳学園(兵庫)は28日、大阪桐蔭(大阪)を4―1で破り、2年連続のベスト4進出を決めた。…

 降り続ける雨にも、コントロールは乱されない。打者と向き合う188センチの体はこの日、いっそう大きく見えた。第96回選抜高校野球大会の準々決勝に臨んだ報徳学園(兵庫)は28日、大阪桐蔭(大阪)を4―1で破り、2年連続のベスト4進出を決めた。準決勝は大会10日目の第2試合(30日午後1時半開始予定)で中央学院(千葉)と対戦し、2年連続の決勝進出を目指す。(森直由)

 (28日、第96回選抜高校野球大会準々決勝 報徳学園4―1大阪桐蔭)

 報徳学園は一回、斎藤佑征選手(3年)の適時打などで2点を先制した。先発の今朝丸裕喜投手(3年)は、この2点で「たとえピンチになってもホームを踏ませなければ勝てると、心に余裕ができた」。

 対戦する大阪桐蔭は、昨秋の近畿大会準々決勝で10安打を浴びて負かされた相手。「ピンチで気持ちに余裕がなくて、投げるコースを間違えた」と振り返る。

 悔しさを胸に、冬は走り込みやウェートトレーニングに力を入れ、体重を約7キロ増やした。「おかげで直球の質が重くなった。もう同じ失敗はしない」と臨んだセンバツだった。

 この日は特に内角攻めを意識して投げ、相手の主軸を無安打に抑えた。

 八回に連打を浴びて1点差に迫られたが、徳田拓朗捕手(3年)が二盗を刺す好プレーでピンチをしのいだ。徳田捕手は「『走ってくる』という心の準備ができていたので、しっかりと送球できた」。

 その直後、安井康起選手(3年)の適時打などで2点を加えて突き放した。

 二塁手の山岡純平選手(2年)もヒット性の打球を好捕し、チームも無失策。今朝丸投手は最後の打者をファーストライナーに抑えると、「ヨッシャー」と叫んだ。

 昨秋の雪辱を果たす完投に、徳田捕手は「制球力も球の質も良く、100点に近い投球」とたたえた。

 「マウンドよりも、(マスコミの)インタビューのほうが緊張します」。今朝丸投手は試合後、報道陣の笑いを誘った。

 2年連続でつかんだ4強入り。今朝丸投手は「優勝が近づいてきたと思う。今日は1点を取られたので、次は0点に抑える投球をしたい」と気を引き締めた。(森直由)