(28日、選抜高校野球大会準々決勝 健大高崎6―1山梨学院) 4点リードで迎えた六回表、この回からマウンドに立った健大高崎(群馬)の石垣元気(2年)は力んでいた。 「秋は自分のせいで負けた。2度負けるわけにはいかない」 昨年10月末の関東大…

(28日、選抜高校野球大会準々決勝 健大高崎6―1山梨学院)

 4点リードで迎えた六回表、この回からマウンドに立った健大高崎(群馬)の石垣元気(2年)は力んでいた。

 「秋は自分のせいで負けた。2度負けるわけにはいかない」

 昨年10月末の関東大会の準決勝のことが、脳裏によぎった。

 相手は同じ山梨学院。自身が先発し、九回まで投げ抜き3失点と力投。9三振を奪ったが、試合は2―3で敗れた。

 「もうこんな悔しい思いはしたくない」。試合後は、大粒の涙を流しながらこう語っていた。

 5カ月後に迎えた甲子園での再戦。だが、先頭打者にストレートの四球を与えた。さらに四球と安打で1死満塁のピンチを迎えた。

 だが、捕手で主将の箱山遥人(3年)が声をかけてくれた。

 「バッター集中。それだけ考えろ。俺を信じて投げてこい」

 相手の4番打者・梅村団を併殺打に打ち取り、ピンチを切り抜けた。

 昨秋の悔しさをバネに、冬場は「狙われても打たれない直球」を求め、筋力トレーニングに励んだ。体重も5キロ増やした。エースナンバー「1」は同学年の佐藤龍月に譲ったものの、直球の最速は150キロになった。

 迎えた選抜大会。2回戦の明豊戦では149キロを記録。箱山は「あの直球の強さがあれば、そう簡単には打たれない」と評価する。

 1、2回戦はともに八回からの登板だったが、準々決勝では先発した佐藤の指のまめが破れ、想定よりも早い回での登板となった。

 相手打線は秋と比べてスイングが強くなっていると感じたが「内野を信じて投げた」。七回以降も制球にやや苦しんだものの、1失点に抑えてチームの12年ぶりの4強進出に貢献した。試合後、石垣は「全員で勝ち取った勝利だと思う」と振り返った。

 準決勝の対戦相手は、昨秋の明治神宮大会を制した星稜だ。「しっかり準備して、どんな場面でマウンドに立っても勝たせるピッチングをしたい」(吉村駿、石田貴子)