第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)に出場した創志学園(岡山)は26日の2回戦で山梨学院に敗れ、春夏通じて初の8強入りはならなかった。 東海大相模(神奈川)で春3度優勝の門馬…

 第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)に出場した創志学園(岡山)は26日の2回戦で山梨学院に敗れ、春夏通じて初の8強入りはならなかった。

 東海大相模(神奈川)で春3度優勝の門馬敬治監督と、清峰(長崎)と山梨学院を選抜優勝に導いた吉田洸二監督は昭和44(1969)年度生まれの同級生。かつての熱戦について尋ねたら、意外とも予想通りともとれる答えが返ってきた。

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 東海大相模と清峰は2006年の78回大会2回戦で対戦。清峰が延長14回に及ぶ接戦を制し、初出場で準優勝した。

 26日の再戦前、門馬監督に当時について尋ねると、黒い大きな目がくるっと動き、少し間をおいてからこんな答えが返ってきた。

 「過去のことは忘れました。今日のことしか考えてないので」

 ああまた、このセリフを言わせてしまった、と少し反省した。

 創志で初の甲子園出場が決まって以来、数限りなく問われてきた相模時代との比較に対し、いつも「過去は振り返らない」と返してきた。

 選手に対しても「今、この場で、状態の良い選手を使う」方針を徹底。昨秋から大幅にメンバーも守備位置も入れ替え、この日も公式戦初先発同士でバッテリーを組ませた。

 一方で不変の軸もある。

 「僕の原点は原のオヤジさんから教わった野球を通じた人間形成。それはここに来ても変わらない」

 三池工(福岡)と東海大相模を夏の甲子園優勝に導いた故・原貢監督を今も慕い、「アグレッシブ・ベースボール」の継承を掲げる。生活面の細かい指導も師匠譲りで、創志では選手寮の食事に顔を出しては配膳や皿洗いをしてきた。

 今大会は1回戦で別海(北海道)を7―0で破り、選抜では8年ぶりの勝利を挙げた。だが、2回戦で山梨学院に0―4で敗れ、恩師や吉田監督らに続く「異なる2校での甲子園優勝」はならなかった。

 「まだまだだな、と。自分がいた関東地区のチームを相手に、昔から知ってる吉田監督に刺激をもらったことを私も選手も財産にしたい」

 過去への目線は一瞬。新たな季節が待っている。(大野宏)