第96回選抜高校野球大会第8日の27日、中央学院は第1試合で宇治山田商(三重)を7―6で破り、甲子園で初の8強進出を決めた。28日の準々決勝第3試合(午後1時半開始予定)で青森山田と対戦する。(杉江隼)  ◎…中央学院は終盤に猛追されたが…

 第96回選抜高校野球大会第8日の27日、中央学院は第1試合で宇治山田商(三重)を7―6で破り、甲子園で初の8強進出を決めた。28日の準々決勝第3試合(午後1時半開始予定)で青森山田と対戦する。(杉江隼)

 ◎…中央学院は終盤に猛追されたが、逃げ切った。二回に安打や犠打で1死一、三塁にし、臼井の犠飛で先制。三回2死から連続四球や颯佐と森田の適時打などで3点を加えた。四回にも盗塁や犠打を絡め、小沢、水嶋、中村の適時打で3点を追加した。先発臼井は六回に連打や犠飛で3失点。継投した颯佐は八回に連打され、暴投と重盗で1点差まで迫られたが、粘り勝った。

■背番号10の臼井が先発

 「エースを超えたい」と臨んだ背番号10が初戦に続き、先発を任された。

 「頼んだぞ」。臼井夕馬投手(3年)は二回裏2死一、三塁で、二遊間の2人に声をかけた。高めに投げた2球目の直球は高く打ち上げられ、飯山成夢(なるむ)捕手(3年)がバックネットぎりぎりで捕り、ピンチをしのいだ。

 小学1年から野球を始めた臼井投手は小学校も中学校も人数が少なく、いつも試合に出ていた。甲子園をめざす中央学院に入学後、環境が変わった。マウンドで堂々と振る舞う蔵並龍之介投手(3年)や、野手も務める颯佐(さっさ)心汰(ここた)投手(3年)は初めて立ちはだかったライバルだった。負けたくない一心で練習に取り組んだ。

 「自分の体の動きにはサイドスローが合う」。相馬幸樹監督(44)と相談して1年生で上手投げから横手投げに転向。地道にフォームを固め、球速は130キロ前後から最速で143キロに伸びた。課題だった制球や変化球も磨き、新チームが始まったときには蔵並投手とともに先発を任されるまでに成長した。

 しかし、昨秋の千葉県大会地区予選で先発した四街道との試合では、味方のミスに動揺し、投げ急いで守備のリズムを崩した。「打者しか見えなくなってしまった」。1―4で敗れ、チームは敗者復活戦に回った。

 それからは焦りで熱が入りすぎたとき、周りを見るようにした。「野手の目線や構えを確認して、守備とリズムを合わせる。テンポ良く投げ、試合の流れをつくるのが役目」。意識を変え、自分を見つめ直した。

 この日、ピンチの弱さはもうなかった。「落ち着いて投げられた」。ただ、課題も残った。六回裏に3点を失ってマウンドを降りた。大舞台で必死に追い上るチームの勢いに押された。「粘り強い打撃にペースを乱された。気持ちで負けていた」

 背番号1をめざしている。「どんな状況でも自分の投球をしてエースを狙う」。気持ちの面でも進化を遂げ、飛躍する。(杉江隼)