通訳の水原一平氏が違法なスポーツ賭博を行ったとしてドジャースを解雇された問題について、大谷翔平選手が初めて取材に応じ、賭博や送金への関与を完全に否定した。 【映像】危機管理と初動の広報対応は十分だったのか?  大谷選手の声明発表について…

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 通訳の水原一平氏が違法なスポーツ賭博を行ったとしてドジャースを解雇された問題について、大谷翔平選手が初めて取材に応じ、賭博や送金への関与を完全に否定した。

【映像】危機管理と初動の広報対応は十分だったのか?

 大谷選手の声明発表について、アメリカ・カリフォルニア州の弁護士資格を持つ村井卓哉弁護士は「最小限ではあるが、みなさんが疑問に思っていることに対して必要十分な説明はされた。口座の管理について具体的に言及せずに『水原氏が勝手にアクセスした』と説明するにとどめたのはおそらく犯行の手口にかかる部分であるため現時点では特定せずに、あえてクリアにせずにあの程度にとどめたのでは」との見解を示した。

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 今後の捜査については「今回の大谷選手の話を前提にすると、大谷選手については一方的な被害者ということになるため、被害者サイドとして話を聞かれることはもちろんあり得る。一方水原氏の捜査については、今回一番問題になっている送金行為を水原氏が無断で行ったのであれば、様々なセキュリティがある中どのように突破して、どういう手法・手口でアクセスしたのかが焦点になってくると思う」と分析した。

 水原氏はどのような罪に問われるのだろうか?

 村井氏は、「セキュリティを突破するには大谷選手の身分を偽る必要があるため、『通信詐欺罪』にあたる可能性が最も高いと考える。アメリカのIRS(内国歳入庁)は日本の国税庁より権限が広いイメージで、脱税など税金に関する犯罪を調査する権限に加えて国内のお金の流れを調査できる組織だ。そのため、違法賭博に関与して何らかのマネーロンダリング的行為が行われていればその点も調査の対象になる」と説明した。

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 水原氏の違法賭博疑惑について、ダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介氏は「水原氏はどうやって大谷選手の口座から送金できたのか、水原氏が盗んだとして、なぜ送金の費目を『ローン(借金)』と入力したと証言しているのかなど、今回の会見では説明がなかった。気になる部分も残ってはいるが、大谷選手の言葉で語られた点は良かった」と発言。

 そのうえで、「水原氏は当事者でありつつ、通訳として大谷選手の意向を完全に偽装できる立場にあった。『大谷選手がこう言っている』と勝手に代弁して周囲を騙すこともできたわけで、そのことが問題を複雑で難しいものにしている」と指摘した。

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 さらに、ESPNが水原氏を電話取材した際に、大谷選手の広報担当者が同席していたと報じられている点について、「広報担当者の危機管理に疑問を感じる」と語った。

 「本来なら取材前に水原氏が何をどこまで語るのか把握しておくべきで、その内容に嘘や矛盾がないか大谷選手にも確認をとらなければいけない。にもかかわらず、水原氏の主張が一方的にそのまま世に出てしまった。その後に『実は借金の肩代わりではなく盗まれた』と発信が二転三転したことで、むやみに世論の疑念を深める結果になった。盗まれたのが事実であれば、大谷選手としては痛くもない腹を探られたことになる」

 加えて、「危機管理広報の立場で、大谷選手を守って傷口を最小限にとどめることを考えるのなら、水原氏に責任がある部分を早い段階で明確に切り分ける必要があった。広報がうまく機能していないのではないか」と懸念を示した。

 スポーツ選手がトラブルに巻き込まれないために、何が必要なのか。神庭氏は次のように提言した。

 「若くして活躍し、海外に出ていくスポーツ選手は多いが、お金を稼いでいる人のところには有象無象の怪しい輩がわらわらと寄ってくる。お金や税務、法制度などについて知見のある人が、きちんとガードしてあげなければいけない」

 「大谷選手は日本の宝であり世界的なスーパースターでもあるが、まだ29歳と若い。ひょっとするとマネーリテラシーに関しては、一般的な29歳とそこまで大きく変わらないかもしれない。本来ならば『ガードする側』である水原氏に裏切られたのは不幸だったが、一刻も早く大谷選手がプレーに専念できるマネジメント体制を整えてほしい。誰か1人に大きく依存すると、今回のような暴走の懸念もある。きちんと相互チェックが働くように、信頼できる複数人のチームでバックアップしていけるといい」

(『ABEMAヒルズ』より)