第96回選抜高校野球大会は25日、1、2回戦があり、石川県勢2校が1点差の熱戦で阪神甲子園球場をわかせた。輪島市で能登半島地震の被害を受けた日本航空石川は常総学院(茨城)に0―1で惜敗。逆境の中で健闘したチームに拍手が響いた。星稜は八戸学…

 第96回選抜高校野球大会は25日、1、2回戦があり、石川県勢2校が1点差の熱戦で阪神甲子園球場をわかせた。輪島市で能登半島地震の被害を受けた日本航空石川は常総学院(茨城)に0―1で惜敗。逆境の中で健闘したチームに拍手が響いた。星稜は八戸学院光星(青森)を3―2で破り、2022年以来5回目の8強入り。28日午前8時半からの準々決勝で阿南光(徳島)と対戦する。

 ■氷見から日本航空石川の2人「夏、とりかえす」

 (25日、第96回選抜高校野球大会1回戦 常総学院1―0日本航空石川)

 2度順延して迎えた日本航空石川の初戦。チームを支えたのは、先発の猶明光絆(こうき)と継投の長井孝誠の両2年生投手。2人は富山県氷見市の小学校からの同級だ。

 初回の3球目。チェンジアップをいきなり左翼線に持っていかれた。「準備不足だった」。試合後に振り返った。五回まで無失点の好投を見せたが、六回に試合を決める1点を許した。

 落ち込まないよう空を見上げ、「それじゃだめだ」と活を入れた。だがその後も出塁を許し、八回途中で降板。長井に託す。「ごめん、あとは任せた」

 「猶明の分までがんばる。最後まで抑えてやる」と登板した長井。連続で四球を許し満塁に。伝令の福森誠也(3年)が走ってきた。

 「落ち着いて、おまえらしい投球をしろ」

 ぐっと気持ちが入った。

 続く打者に粘られるが、6球目で三振を奪い、守り切った。

 能登半島地震の後、真っ先に連絡をとって無事を確かめた2人。猶明は「断水などで、氷見の自宅には帰れなかった。祖母の家で練習に励んだ」と打ち明ける。

 甲子園では輪島高校野球部員らの応援も背によく攻めたが、白星には届かなかった。猶明は前を向いて言い切った。「練習の成果は出せた。春の悔しさを夏でとりかえしたい」(小崎瑶太)

 ■「エンドランは想定通り」リードを守った捕手

 (25日、第96回選抜高校野球大会2回戦 星稜3―2八戸学院光星)

 2年生捕手の能美誠也が1点リードを守り切った。

 九回1死一塁。一本出れば同点の場面。打者に粘られ10球目で三振に抑えたが、一塁走者が二塁めがけて走り出していた。「(ヒット)エンドランは想定通りだった」と能美。走者の重心移動を見て、「出てくるな」と予想し、三振を奪った後すぐに二塁へ送球した。遊撃手の吉田大吾(3年)がタッチアウト。試合が終わった。

 バッテリーを組んだのはエースの佐宗翼(3年)。初戦は途中降板したが、能美は「今日は直球も切れがよく、変化球も使い調子が良かった」。

 2日続きで雨天順延となった前日、佐宗には「投球の良いところを指摘した」と精神面で支えてきた。「厳しいこと言うのは苦手なので」

 初回には自身の適時打で2点目を挙げた能美。「肩付近からくるインコースを狙っていた」と言う。

 佐宗は「いい捕手。最後、二塁をさしてくれてよかった」と能美をたたえた。ベンチから見守る先輩捕手の河上涼太(3年)も努力を認める。「言ったことをきちんと実践してくれる捕手、選手だ」(小崎瑶太)