(25日、第96回選抜高校野球大会2回戦 星稜3―2八戸学院光星) 湯船につかりながら、イメージした軌道と同じだった。 同点の六回2死二塁。星稜(石川)の中島幹大(かんた)は2球で追い込まれても、慌てない。4球目、八戸学院光星(青森)の左…

 (25日、第96回選抜高校野球大会2回戦 星稜3―2八戸学院光星)

 湯船につかりながら、イメージした軌道と同じだった。

 同点の六回2死二塁。星稜(石川)の中島幹大(かんた)は2球で追い込まれても、慌てない。4球目、八戸学院光星(青森)の左腕洗平比呂のスライダーが外に逃げていく。「よし、きたっ」。両手をいっぱいに伸ばしてとらえると、ふらふらと舞った飛球は左翼手の前にぽとり。勝ち越しの適時打となった。

 背番号13。田辺(和歌山)との1回戦で途中出場から2安打し、先発に抜擢(ばってき)された。左打者だが左腕を苦にせず、「むしろ好き」。昨秋の北信越大会決勝でも敦賀気比(福井)の左腕から十回に代打でサヨナラ打を放った。

 サウナも好き。練習後によく学校近くのサウナに行き、心身を整える。「理想の打撃とか想像するんです」。

 宿舎にサウナはないが、雨で延びた2日間、部屋で相手の動画を見た後は大浴場で思いを巡らせた。

 想像していた会心の当たりとはいかなかったが、それでもいい。小学生のころに所属した富山県高岡市のチームは選手不足で廃部の危機という。

 「甲子園で活躍すれば、地元の子どもたちが野球に興味を持ってくれるかも」。泥臭い安打には、そんな思いも込められた。(山口裕起)

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 ●洗平比呂(八) 決勝打を浴びたスライダーを悔やむ。「自分の真っすぐに自信が持てず、かわす投球をして打たれた。自信をつけて夏に帰ってきたい」