元プロ野球選手で、西武などで強打の外野手として活躍したG・G・佐藤(本名・佐藤隆彦)さん(45)が21日、秋田市の新屋高校でオンライン講演した。失敗や挑戦をテーマに、自らの実体験から「過去は変えられる。個性を強みに、なりたい自分になってほ…

 元プロ野球選手で、西武などで強打の外野手として活躍したG・G・佐藤(本名・佐藤隆彦)さん(45)が21日、秋田市の新屋高校でオンライン講演した。失敗や挑戦をテーマに、自らの実体験から「過去は変えられる。個性を強みに、なりたい自分になってほしい」と語りかけた。

 佐藤さんは米・マイナーリーグを経て、捕手として西武に入団。元西武の松坂大輔さんの代名詞だったスライダーが捕球できず、捕手を諦めたという。「パワーのある外国人選手の打球が怖くて三塁は守れない。1軍投手の速い牽制(けんせい)球が怖くて一塁手も無理。それで外野手になった」と、笑いを誘った。

 2008年の北京五輪。佐藤さんは日の丸を背負って出場したが、準決勝の韓国戦や米国との3位決定戦で計3失策を重ね、日本はメダルを逃してしまう。当時、妻に「死にたい」とメールを送るほど落ち込んだ。

 その十数年後、中学時代に所属した野球チームで縁があった、ヤクルトや楽天などで監督を務めた野村克也さんと再会。亡くなる10日ほど前のことで、「(北京五輪で)記憶に残っているのは(監督を務めた)星野(仙一)とお前だけ。エラーしたお前の勝ちや」と言葉をかけてもらい、救われたという。

 佐藤さんはユーモアを交えながら当時を振り返り、「エラーした事実は一つだが、解釈は無数にある。捉え方や向き合い方で過去は変えられる」。そのうえで「すべてを肯定的に捉えることで世界が変わる。そのための才能やセンスは必要なく、『今日からポジティブに生きる』と決めるだけでいい。自分が志向した未来が、人生をつくる」と呼びかけた。

 講演は、同校野球部監督の佐藤博之教諭が、法政大野球部で佐藤さんの1年先輩だった縁で実現。同校の1、2年生約300人が聴講した。(滝沢隆史)