能登半島地震で校舎などが被災した日本航空石川の初戦を応援しようと、石川県内13校の野球部員ら178人が23日、阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)を訪れた。あいにくの雨で同校と星稜が登場する全3試合は順延に。部員たちは「甲子園歴史館」を見学し、…

 能登半島地震で校舎などが被災した日本航空石川の初戦を応援しようと、石川県内13校の野球部員ら178人が23日、阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)を訪れた。あいにくの雨で同校と星稜が登場する全3試合は順延に。部員たちは「甲子園歴史館」を見学し、グラウンドで記念撮影をした。24日には約100人が再び球場を訪れ、試合を観戦する予定だ。

 今回の企画は、能登地区の県高野連加盟校の指導者らが震災後、「苦しい思いをしている能登の球児を元気づけたい」と立ち上げた。県高野連も趣旨に賛同し、実現した。希望する部員たちを観光バスで送迎するため、費用の支援を広く募っていた。

 参加した羽咋工業高校野球部の岡羚音(れおん)主将は元日、震度7を観測した石川県志賀町の自宅にいたという。「今まで感じたことのない揺れ。瓦が落ち、壁紙ははがれ、命があるかというくらいだった」。でも、「また、みんなで練習したい」という思いは消えていない。

 穴水高校野球部の東野魁仁(かいと)主将も金沢市内で震災に遭った。「野球をしたいという気持ちは変わっていない。練習をがんばって、甲子園で試合をしたい。貴重な体験をさせてもらえてとてもうれしい」と話す。

 自身の自宅も七尾市にある県高野連の佐々木渉理事長は「野球をやめたいという声もあった。それでも前を向いて『野球やろうぜ』という思いで、今回の企画の提案があった。引き続き、支援していただきたい」と語った。(小崎瑶太、斎藤孝則)

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 23日の試合は24日に順延される。日本航空石川の初戦は午前9時、星稜の2回戦は午前11時半に試合開始の予定だ。両校の選手たちは23日、阪神甲子園球場の室内練習場で調整した。

 日本航空石川の選手たちは午前7時半前、室内練習場へ。打撃中心の練習で感覚を確認した。

 「この1週間は午前5時に起きて、体を慣らしてきた」と中村隆監督(39)。昼寝は厳禁で「7時間は頑張って寝よう」と選手に伝えてきたが、「高校生が午後10時前に寝るのは厳しい」と苦笑した。

 雨の日以外は起床後の散歩を欠かさなかったという宝田一慧(ほうだいっけい)主将(3年)は「大丈夫、しっかり寝られている」。23日は午前4時半の起床だったが、24日も同じ時刻に起きる予定だ。「しっかり気持ちを切らさず、あすを迎えたい」

 星稜は午前10時半から、ランニングなどで体を温めてから、打撃中心の練習に取り組んだ。

 山下智将監督(42)は「初戦突破でチームに安心感はあった」と言う。「安心しすぎたところもあったので、選手たちにはこのままではだめと伝えた。緊張感を持って取り組んでくれている。次は3、4番にも期待」と話した。

 芦硲(あしさこ)晃太主将(3年)は「初戦では少し大振りだったので、打撃を再確認した。八戸学院光星の投手は簡単に打てないと思う」と話した。「走塁など足を絡めていきたい。不安要素はない」と自信を見せた。(小崎瑶太、斎藤孝則)