高知は選抜高校野球大会第4日の21日、第2試合で昨秋の中国大会覇者、広陵(広島)と対戦し、1―3で惜敗した。2点リードされた八回に箕浦充輝選手(3年)の内野安打から1死二、三塁とし、敵失を誘って一時は1点差に迫る粘りをみせ、球場を沸かせた…

 高知は選抜高校野球大会第4日の21日、第2試合で昨秋の中国大会覇者、広陵(広島)と対戦し、1―3で惜敗した。2点リードされた八回に箕浦充輝選手(3年)の内野安打から1死二、三塁とし、敵失を誘って一時は1点差に迫る粘りをみせ、球場を沸かせた。

 2点を追う五回、先発の辻井翔大投手(3年)に代わって背番号1の平悠真投手(同)がマウンドに上がった。

 「自分が抑えて流れをもっていこう」。守備の乱れで走者を背負ったが、4番と5番の打者を変化球と直球で三振に仕留め、追加点を与えなかった。

 「納得いったボール。手応えがあった」

 八回まで被安打0、九回は2長短打を浴びたが1失点で切り抜けた。浜口佳久監督は「劣勢の場面で(マウンドを)つないでくれ、(試合の)リズムをつくってくれた」と評した。

 試合に敗れたものの、好投の陰には、冬のトレーニングがあった。

 昨秋時点で最速148キロと力で押すタイプだったが、上半身の筋力トレーニングを取り入れようと思い立った。球速が上がった時、肩を痛めないようにするためだ。大リーグで活躍する日本人選手の動画などを参考に、見よう見まねで取り組んだ。

 背筋など今まで手をつけていなかった部分を鍛えると、それが体に表れた。「体がだいぶ作れてきた」と手応えを感じた。1年前は筋トレの一種、ベンチプレスで40キロの重さが上がらなかったものが、今は60キロも上がるようになった。

 投球には力を入れるだけではなく、抜く必要もある――。そう思い定め、体のバランスをとるためにピラティスも採り入れた。

 この日の試合後、「上半身のウェートトレーニングをしたことで切れがよくなった」と投球には納得できた様子だった。今後は内角のコントロールをあげていきたいと向上心も見せた。

 「(先発した辻井投手と)お互い反省点が出た試合だった。2人でレベルアップして、もう一度夏に帰ってきて広陵に勝ちたい」。そう言うと、すがすがしく甲子園を後にした。(鈴木芳美、石田貴子)

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 高知・川村光輝主将 自分たちの野球は広陵相手にできたと思う。八回の好機で小技を決めきれず、相手に流れがいってしまった。

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 高知・浜口佳久監督 追加点を取られても守備を中心に何とか守れた。辻井も平も粘りの投球ができて、いい経験になったと思う。