全国屈指の強豪、大阪桐蔭は第96回選抜高校野球大会でも優勝候補の筆頭格に挙げられている。チームには二刀流の根尾昂(あきら)投手(中日)や藤原恭大(きょうた)選手(ロッテ)ら、「最強世代」にあこがれた選手が多くいる。同じく甲子園を沸かせる成…

 全国屈指の強豪、大阪桐蔭は第96回選抜高校野球大会でも優勝候補の筆頭格に挙げられている。チームには二刀流の根尾昂(あきら)投手(中日)や藤原恭大(きょうた)選手(ロッテ)ら、「最強世代」にあこがれた選手が多くいる。同じく甲子園を沸かせる成績を残せるか注目だ。

 大阪桐蔭は2012年、藤浪晋太郎投手(メッツ)と森友哉選手(オリックス)のバッテリーを擁し、初めて春夏の甲子園を制した。藤浪投手は夏の準決勝と決勝で、いずれも完封した。

 14年は夏、17年は春に優勝したが、春夏連覇はできなかった。

 2度目の春夏連覇を成し遂げたのは18年。高校野球史上初の偉業で、二刀流の根尾投手や4番打者の藤原選手ら「最強世代」が躍動した。

 夏は1回戦から決勝までの計6試合で45得点を挙げ、失点は12。一学年から4人のプロ選手が輩出した。

 12年と18年。6年という間隔について石田寿也コーチは法則めいた見立てを披露した。「小学6年のときに、強い大阪桐蔭に憧れた子どもたちが入学して、ちょうどメインの高校3年になる」

 今年は18年から6年後にあたる。いまの3年生には「最強世代」に憧れて入部した選手が多い。

 選抜大会でベンチ入りする3年15人のうち、少なくとも10人が大阪桐蔭に入学した理由に「18年の春夏連覇」を挙げた。エースの平嶋桂知(かいち)投手、主砲のラマル・ギービン・ラタナヤケ選手らだ。

 宮本真司郎主将もその一人。18年夏に愛知県から父と甲子園に行き、沖学園(南福岡代表)との2回戦をバックネット裏から観戦した。

 その日は根尾選手と藤原選手が本塁打を放って10―4で快勝。迫力あるプレーの数々と割れんばかりの歓声に、「桐蔭のユニホームを着て野球がしたい」と気持ちを固めた。

 その年の冬には、中日ドラゴンズジュニアの始球式で根尾選手に、「試合はあっという間だから楽しんでね」と声をかけられた。すべての技術がハイレベルで、野球に取り組む姿勢もかっこいいと根尾選手に憧れた。

 中学時代は「桐蔭に入ることを考えて練習していた」。ボーイズリーグでは根尾選手と同じ投手と遊撃手の二刀流で活躍し、桐蔭に入れることが決まったときは「よっしゃ!」と大喜びした。

 憧れのユニホームを着て2年、まじめな性格で仲間からの信頼も厚く、主将に選ばれた。

 野球帽のつばの裏には大きく「日本一」と書いた。「この代でも春夏連覇したい。そのためにも一戦一戦に全力を尽くす」

 大阪桐蔭は今年、6年ごとの春夏連覇を成し遂げられるか。22日の1回戦第2試合で北海(北海道)と対戦する。(西晃奈)