(21日、第96回選抜高校野球大会1回戦 広陵3―1高知) オレンジ色のバットで大きく一度、素振りをして打席に入ると、試合開始のサイレンが鳴り響いた。 広陵(広島)の1番打者、浜本遥大(はると)選手(3年)はすでに狙いを決めていた。「流し…

 (21日、第96回選抜高校野球大会1回戦 広陵3―1高知)

 オレンジ色のバットで大きく一度、素振りをして打席に入ると、試合開始のサイレンが鳴り響いた。

 広陵(広島)の1番打者、浜本遥大(はると)選手(3年)はすでに狙いを決めていた。「流し打ちで強い打球を放てば、長打になる」

 右翼手の守備位置が、浅いことに気付いていた。ファウルで粘り、フルカウントで迎えた6球目。打球は狙い通り、右方向に飛び、右翼手の頭を越えた。二塁上で小さく拳を作った。

 昨春の選抜も下位打線ながら甲子園に立った。しかし、初戦の初打席は三振。「初めての甲子園に緊張して何もできなかった」。夏の甲子園の経験もへて、この日は緊張は全くなく、冷静に相手を観察していた。

 二塁打で出塁後、続く田村夏芽選手(同)が「浜本が出て勢いがついた」と、2球目を犠打に。相手の送球ミスもあり、一気に先制のホームを踏んだ。

 1番打者は、チームの印象を決める。あの打撃で、広陵打線は怖いという印象を与えられたと思う。試合後、浜本選手はそう振り返った。目を引くバットに「打てそうな感じがするんですよ」と笑うリードオフマンが、広陵を勢いづける。(根本快)