第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)で20日に、21世紀枠の別海(北海道)を7―0で下した創志学園(岡山)。春の甲子園で2016年以来8年ぶりとなる勝利には、公式戦初出場とな…

 第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)で20日に、21世紀枠の別海(北海道)を7―0で下した創志学園(岡山)。春の甲子園で2016年以来8年ぶりとなる勝利には、公式戦初出場となった選手の活躍があった。

■「絶対にかえしてやる」 意気込んだ打席

 一回から三回まで毎回好機はつくっているのに、あと1本が出ない。敵失と犠打で得た四回1死三塁、この日が公式戦初出場となった創志学園の秦知也(3年)は「絶対にかえしてやる」と意気込み、打席に立った。2球目のスライダー。打ち返した球はセンターに勢いよく伸びた。これが犠飛となり、待望の先制点をもぎとった。

 門馬敬治監督はスクイズなどの策も考えたというが、「1打席目でヒットも打っていて、バットの出方が良かった彼に任せました」。第1打席に続き、最初のストライクを果敢に振る積極性が実った。

 兵庫県の淡路島出身。小学生だった2018年夏、西純矢投手(阪神タイガース)の甲子園での活躍に、「同じユニホームが着たい」と創志学園を目指す。入学して半年、甲子園で4度の優勝歴を持ち、常に攻める「アグレッシブ・ベースボール」が信条の門馬監督が赴任してきた。

 昨秋の中国大会では体調不良の選手に代わり途中からベンチに入ったが、試合の出番はなかった。「自分はチャンスに弱くて。機会をもらっても結果を出せなかった」

■「絶対に甲子園でプレーを」

 選抜出場を確実にして迎えた冬場、「絶対甲子園でプレーしてやる」と気合を入れ直した。豊島虎児主将(3年)も「練習に取り組む姿勢と目の色が変わった」と秦の変化を感じていた。

 秦自身が一番大事にしたのはキャッチボール。「丁寧に、手を抜かず、常に早く」。「甲子園基準」を意識した。控えの外野手だったが、内野守備の適性を認められ、今大会は背番号7と三塁手としての先発機会を勝ち取った。起用について「適材適所というか。僕にとっても新しい発見でした」と門馬監督は語る。

 「くらいついていけ」という監督の発破に応えた秦。「小さい頃から憧れた場。僕は技術は無いですけど、チームのために、くらいついて泥臭くやっていきます」(大野宏)

■足を使った攻め 着々加点

 創志学園は四回、敵失と犠打で1死三塁とし、秦の犠飛で先制。五回には2盗塁などで相手守備にプレッシャーをかけてミスを誘い、単打1本で3点を加えた。七回にも後藤の適時打などで2点を追加。八回には2死から朝野が捕前バントを内野安打にして7点目をもぎとるなど、足を使った積極的な攻めが光った。

 エース山口は三回まで1人の走者も許さず、立ち上がりでリズムをつくり、14三振を奪って完封。守備陣も強風が吹く悪条件の中、無失策で乗りきって支えた。