■智弁和歌山前監督 高嶋仁の目 (20日、第96回選抜高校野球大会1回戦 中央学院7―1耐久) 残念でした。勝ち負けは別として、耐久はいま一つ、元気がなかったように見えました。 冷水(しみず)孝輔投手が力投していただけに、野手陣が発奮してほ…

■智弁和歌山前監督 高嶋仁の目

 (20日、第96回選抜高校野球大会1回戦 中央学院7―1耐久)

 残念でした。勝ち負けは別として、耐久はいま一つ、元気がなかったように見えました。

 冷水(しみず)孝輔投手が力投していただけに、野手陣が発奮してほしかったです。

 ポイントは序盤の攻撃でした。一回無死一、二塁としましたが、3番沢剣太郎選手のバントは捕前に落ち、二塁走者が三封されました。一塁手か三塁手に捕らせるようなバントをしてほしかったですね。

 二回も1死一塁からのバントが投前に強く転がり、併殺に。波に乗れませんでした。

 バントは高校野球の基本。練習を繰り返すしかありません。漫然とやるのではなく、実戦を想定して野手の動きを見ながら繰り返すことが大事です。

 守備では六回、遊撃後方に飛球が落ちて安打になった。遊撃手が深追いするより中堅手が突っ込んで捕るべき打球でした。この後、適時打で追加点を奪われ、突き放されました。

 逆に、中央学院は攻守とも攻めていました。

 ピンチを切り抜けた直後の一回に、きっちり送りバントを決めて先制。スクイズを失敗しても、ヒットエンドランをかけてくるなど貪欲(どんよく)でした。

 守りでも右翼手と中堅手が衝突して球を落としましたが、ぶつかっても捕るんやという気迫が見えました。

 こういうプレーから何かを感じてほしいですね。

 今大会、和歌山勢は田辺、耐久とも初戦敗退でした。両校とも投手は踏ん張りましたが、攻守にミスが出ました。

 この教訓を生かし、夏に帰ってきてほしいですが、智弁も市高(市和歌山)も黙っていないと思います。切磋琢磨(せっさたくま)してもらいたいですね。(智弁和歌山・前監督)