(20日、第96回選抜高校野球大会1回戦 創志学園7―0別海) 21世紀枠で初出場した別海(北海道)は人口約1万4千人の別海町にある。過疎化が進み、曽根興三町長(72)は「昨年は町の産業である漁業が振るわず、暗い雰囲気もあった」という。 だ…

(20日、第96回選抜高校野球大会1回戦 創志学園7―0別海)

 21世紀枠で初出場した別海(北海道)は人口約1万4千人の別海町にある。過疎化が進み、曽根興三町長(72)は「昨年は町の産業である漁業が振るわず、暗い雰囲気もあった」という。

 だが、選抜出場の吉報が届くと、町の雰囲気が変わった。同校OBで町で生まれ育った会社員、高橋秀告さん(51)は「選抜が決まってから、みんな甲子園の話題ばかり。良いニュースをくれた選手たちに感謝しかない」。

 学校には、毎日のように地元住民らから差し入れが届いた。漁師たちが町のコミュニティセンターにネットを張り、室内練習場を作り上げた。町も遠征費など5千万円を援助した。

 この日は町の人口の1割を超える約1500人が三塁側スタンドを埋めた。別海町の友好都市である大阪府枚方(ひらかた)市からも応援団がかけつけた。安打が出るたび、アルプス席から大歓声が上がった。「元気をもらったから」という理由でブラスバンドに加わった女性もいた。

 「たくさん応援してくれて本当にうれしい」と主将の中道航太郎が言えば、曽根町長は「我々が高校生から活力を頂いた」。

 試合には敗れたが、夢舞台は球児と地域にかけがえのない縁をもたらした。(室田賢)