聴覚に障がいのある選手たちが参加する「第1回世界ろう野球大会」(2月24~28日、台湾)で日本代表チームが優勝し、一塁手として出場した青森県八戸市の尾張圭佑(けいすけ)さん(32)が18日に県庁を訪れた。 尾張さんは「みなさんの声援とサポ…

 聴覚に障がいのある選手たちが参加する「第1回世界ろう野球大会」(2月24~28日、台湾)で日本代表チームが優勝し、一塁手として出場した青森県八戸市の尾張圭佑(けいすけ)さん(32)が18日に県庁を訪れた。

 尾張さんは「みなさんの声援とサポートのお陰で、世界一を取ることができました。うれしい気持ちでいっぱいです」と、喜びと感謝の気持ちを伝えた。

 尾張さんは弘前市出身。生まれつき難聴があり、普段は手話や筆談を使っている。小学4年で野球を始め、弘前東高校では左腕の投手として活躍。夏の青森大会では先発で登板した経験もある。

 進学した弘前学院大学では軟式野球に励み、現在は八戸市の八戸聾(ろう)学校で教諭を務めながら、仙台市に拠点のあるろう野球チームなどで練習を続けている。

 世界大会は5カ国・地域が参加。日本は上位3チームで競う決勝ラウンドに進み、米国と台湾に勝って優勝した。尾張さんはその台湾戦で2安打を放ち、2盗塁も決めて勝利に貢献した。

 「大事な場面で打つことができてうれしかった。大会を通じて、いろいろな国・地域の選手と出会い、大きな財産になりました」と振り返った。

 試合ではルールで補聴器が使えず、仲間の声が聞き取れなかった。それでも手話を駆使したり、目で合図を送ったりして、チームがまとまっていたという。

 尾張さんは優勝の要因について「勝つためにどのようなプレーをしたらいいか、選手一人ひとりが自分の役割を考えていたのが良かった」と答えた。

 そして「今回の優勝をきっかけに、ろう野球をする人が青森県内でも増えたらうれしい」と話し、宮下宗一郎知事は「すばらしい成績なので、ろう野球に広がりが出るといいですね」とねぎらった。

 2026年の世界大会は日本で開催が予定されている。尾張さんは「また代表に選ばれるように練習を頑張りたい。そして、多くの人に、ろう野球に興味を持ってもらえたらうれしいです」と話していた。(渡部耕平)