18年ぶりに選抜大会に出場する京都外大西。甲子園は春夏通じて16回を数え、2005年の全国選手権大会で準優勝した強豪だ。近年は甲子園が遠かったが、昨秋の近畿大会で準優勝し、選抜の切符をつかんだ。そんなチームの躍進を支えるのは分析班の阪部譲…

 18年ぶりに選抜大会に出場する京都外大西。甲子園は春夏通じて16回を数え、2005年の全国選手権大会で準優勝した強豪だ。近年は甲子園が遠かったが、昨秋の近畿大会で準優勝し、選抜の切符をつかんだ。そんなチームの躍進を支えるのは分析班の阪部譲史(のりふみ)さん(3年)。独特な視点で相手を研究し、選手たちにアドバイスしている。

 阪部さんが分析するうえで注目するのは、相手選手の性格だ。

 長打力や球種などの基本的なデータや強みだけでなく、プレーのときの表情やしぐさに表れる人柄を見る。

 対戦予定の相手がほかのチームと試合をするときは、撮影に出かける。試合後、動画を見ながら相手のプレーをノートにメモし、ともに分析を担う丸山貴也コーチと作戦を練る。選手たちにアドバイスするときは「率直に、わかりやすく」を念頭に置いて伝える。

 部長の山添啓史(ひろふみ)さん(36)は「人を見る目がたけている。分析班として、部員に言いにくいこともはっきりと言える存在。キャプテンに並ぶチームの要」と評価する。

 昨秋の近畿大会、阪部さんの分析が実を結んだ。相手投手が「ストイックでマイペースな性格」と事前に聞いたことから、「ペースを崩されるのは苦手かもしれない」と予測。バッターボックスに入る前に足で土をならして間をつくるよう打者に伝えた。それが的中し、チームの勝利につながった。

 昨年6月、右ひじをけがしてボールを投げられなくなった。野球に対するやる気が薄れ、「部をやめたい」と思う日が増えた。

 つなぎとめたのが分析の役目だった。丸山コーチのサポートを受け、昨秋の京都府大会で初めて担当した。

 相手投手の投球フォームを細かく観察し、盗塁のタイミングを選手に説明した。これが本盗につながった。アドバイスが的中するとうれしかった。「得意なことには深く、狭く熱中するタイプ」の自分に、合っていると感じた。

 選手としてではなく、裏方でチームを支えようと決めた。

 20日の1回戦第2試合で昨年選抜の覇者、山梨学院と対戦する。阪部さんは記録員としてベンチに入る予定だ。「自分たちの強みは団結力、チームワーク。でも、こまやかな気配りや、感情を抑えるという部分はもっと必要」。ベンチから仲間に、静かに熱いエールとアドバイスを送る。(関ゆみん)