第96回選抜高校野球大会は、第2日の19日、阪神甲子園球場で1回戦3試合が行われた。第2試合で敦賀気比は、明豊(大分)に0―1でサヨナラ負けした。2021年大会から4年連続で出場中だが、4年連続で初戦で涙をのんだ。  (19日、第96回選…

 第96回選抜高校野球大会は、第2日の19日、阪神甲子園球場で1回戦3試合が行われた。第2試合で敦賀気比は、明豊(大分)に0―1でサヨナラ負けした。2021年大会から4年連続で出場中だが、4年連続で初戦で涙をのんだ。

 (19日、第96回選抜高校野球大会1回戦 敦賀気比0―1明豊)

 ◎…敦賀気比(福井)は、エース竹下海斗が一~四、七、八回に得点圏に走者を背負う苦しい展開だったが、九回裏1死一塁で降板するまで得点を許さなかった。継投した米田涼平も2死一、二塁まで粘ったが、明豊の4番石田智能にサヨナラ打を浴びた。

 打線は、一、六、七回は先頭打者が出塁し、八回を含め走者を計4度得点圏に進めた。特に、1番岡部飛雄馬は2安打1四球1盗塁と活躍。ただ、明豊の先発寺本悠真、エース野田皇志の継投に4安打に抑えられ、あと一本が出なかった。

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(19日、第96回選抜高校野球大会1回戦 敦賀気比0―1明豊)

 0―0で迎えた九回裏、敦賀気比は2死一、二塁のピンチを迎えた。明豊の二塁走者は俊足の1番打者。一打で生還し、サヨナラ負けとなる恐れがある――。主将で二塁手の西口友翔(3年)は警戒しながら投打を見つめた。

 5球目。4番打者が振り抜いた強烈なゴロに西口が追いついた。「最悪でも体で止めれば二塁走者は生還できない」

 だが、手前でバウンドが変わり、自らの体に当たって後方へ。前進守備の右翼手がつかみ、懸命に本塁へ送球したが、わずかに間に合わず、走者が生還した。

 記録は失策ではなく、ヒットだったが、西口は自分を責めた。「処理できる打球だっただけに悔しい。チームに申し訳ない」

 今大会出場32校のなかで5年連続の大阪桐蔭に次ぐ4年連続出場の敦賀気比。だが、3年連続で初戦敗退しており、主将もチームも今度は勝つ、と期するものがあった。

 そんな思いは、今大会から導入された低反発の金属バットへの取り組みにもあらわれた。強く球を打つため、全選手が2月までの3カ月間で体重を10キロ増やす目標を掲げ、ほぼ全員が達成。西口も9キロ増やした。

 だが、この日は、相手の投手陣に自分のスイングをさせてもらえなかった。2番打者として犠打を二つ決めたが、2打数でノーヒット。チームも散発の4安打に抑えられた。

 こうなると持ち前の堅守が頼みだが、この日は失策やミスが重なった。自身の最後のプレーも、ほろ苦いものになった。西口は「借りを返すのは夏の甲子園しかない。一球の怖さも知った。下を向かず、明日から頑張りたいと思います」。

 悔しさをかみしめ、前を向こうとしていた。(長屋護)