目標の「日本一」に向けてまず一勝――。 第96回選抜高校野球大会第2日の19日、明豊は第2試合で敦賀気比(福井)と対戦し、1―0でサヨナラ勝ちした。最終回、石田智能(ともよし)(3年)が、サヨナラ適時打を放ち、競り勝った。2回戦は大会第7…

 目標の「日本一」に向けてまず一勝――。

 第96回選抜高校野球大会第2日の19日、明豊は第2試合で敦賀気比(福井)と対戦し、1―0でサヨナラ勝ちした。最終回、石田智能(ともよし)(3年)が、サヨナラ適時打を放ち、競り勝った。2回戦は大会第7日(24日予定)の第1試合で健大高崎(群馬)と対戦する。

 明豊は、得点圏に再三走者を進めながらあと1本が出ないジリジリとした試合展開が終盤まで続いた。八回までの残塁は11。「いやな流れだった」と川崎絢平監督。

 迎えた九回2死一、二塁の好機。二塁走者の木村留偉(3年)がかえればサヨナラの場面で、石田は「4番の自分がここで決める」と打席に入った。

 カウント2―2から「狙っていたまっすぐがきた」と直球を振り抜くと、強いゴロの打球が一、二塁間に飛んだ。50メートル5・9秒の木村が快足を飛ばす。「2死だったし、三塁コーチも腕を回していた」と、浅い打球だったが一気に本塁へ。捕手の位置や体勢をみて、足から本塁へ滑り込み、決勝点を奪った。

 木村は「普段、みんなが行かなさそうな場面で、足で行くのが自分の役割」と自信をみせた。

 値千金の適時打を放った石田は、捕手では初めての公式戦スタメンだった。「寺本には自分に任せろという感じでリードした」。その言葉どおり、先発した2年生左腕の寺本悠真は七回途中まで被安打3の好投。続くエース野田皇志(3年)が後続を抑え、継投で敦賀気比打線を4安打に抑え、三塁を踏ませなかった。

 川崎監督は試合前、寺本について「制球の良さと、マウンドでは淡々とというか、心が落ち着いているところが彼の持ち味。すごいボールは投げないけれど、持ち味を出してくれれば」。試合後には「『ザ・寺本』という打たせて取る投球をしてくれ、いやな展開にも相手に流れを渡さなかった。守備にもミスが出なかったのが大きかった」と話した。(大村久)