3月20日は春分の日。ご存じの通り、「昼と夜の長さがほぼ等しくなる日」で、毎年3月20日か21日のいずれか1日となっている。ちなみに英語では「VernalEquinoxDay」。そう、昨年の世界最強馬となった「イクイノックスの日」なのだ…

 3月20日は春分の日。ご存じの通り、「昼と夜の長さがほぼ等しくなる日」で、毎年3月20日か21日のいずれか1日となっている。ちなみに英語では「VernalEquinoxDay」。そう、昨年の世界最強馬となった「イクイノックスの日」なのだ。それもそのはず、馬名の意味は「昼と夜の長さがほぼ等しくなる時」。というわけで、由来となった祝日に世界一となった偉大な馬の足跡を振り返りたい。

 イクイノックスは父キタサンブラック、母シャトーブランシュ、母の父キングヘイローの血統。母は15年のマーメイドSの覇者。半兄のヴァイスメテオールは21年のラジオNIKKEI賞を制している。

 2歳夏のデビューから新馬、東京スポーツ杯2歳Sと2連勝。その後は休養で成長を促され、異例となるクラシック直行のローテが取られた。皐月賞は僚馬ジオグリフの2着。続く日本ダービーではドウデュースに差し届かずの2着だったが、結果的にこのレースが最後の敗戦となった。

 秋を迎えて、イクイノックスの快進撃がスタートする。天皇賞(秋)では大逃げを打ったパンサラッサをゴール前で捕らえて、待望のGI初制覇。続く有馬記念では中山適性を不安視する声もあったが、2着のボルドグフーシュに2馬身半差の完勝を収め、現役最強の座に就いた。

 古馬となっての初戦は、海外初遠征となったドバイシーマクラシック。ここでは逃げ馬不在とみるや、生涯初の逃げを打つ。そして直線では後続を突き放し、最後は手綱を抑える余裕を見せながら、前年の愛ダービー馬のウエストオーバーに3馬身半差をつけてゴール。その強さを世界の競馬ファンに知らしめた。

 そして帰国後も宝塚記念、天皇賞(秋)、ジャパンCと圧巻のパフォーマンスを続ける。とりわけ天皇賞(秋)では1分55秒2の世界レコードで圧勝。続くジャパンCも1歳下の三冠牝馬リバティアイランドに4馬身差を付ける驚異的な走りだった。そしてこの一戦を最後に引退。その血を残すという第二のステージに移ることとなった。

 その偉業は数字の面でも明らかだ。総獲得賞金は日本馬の歴代1位となる22億1544万6100円。そして「2023年度ロンジンワールドベストレースホースランキング」では、レーティング135を獲得して年間世界1位に輝いた。これは14年のジャスタウェイ以来、日本調教馬として史上2頭目の快挙。対象レースはジャパンCで、99年のエルコンドルパサーの134を超えて、日本調教馬におけるレーティング記録を塗り替えることとなった。

 初年度となる今年の種付料は2000万円。社台スタリオンステーションの繋養馬では父のキタサンブラックと並んでトップタイ。さらに初年度の種付料としては07年のディープインパクトと22年のコントレイルの1200万円を上回り、史上最高額となった。当然ながら社台グループを中心に選りすぐりの繁殖牝馬が花嫁に予定されている。産駒デビューは3年後の夏。イクイノックス二世が父を超える衝撃を届けてくれることを期待したい。