最近のファンには聞き馴染みのないワードかもしれないが、毎日杯はかつて「東上最終便」と言われていた。その理由は文字通り、皐月賞における最後の前哨戦だったから。しかしながら、近年はレースの持つ意味が変わってきている。  かつては毎日杯から皐…

 最近のファンには聞き馴染みのないワードかもしれないが、毎日杯はかつて「東上最終便」と言われていた。その理由は文字通り、皐月賞における最後の前哨戦だったから。しかしながら、近年はレースの持つ意味が変わってきている。

 かつては毎日杯から皐月賞に向かう馬が多くいた。極端にいえば、毎日杯で賞金を加算しながら皐月賞に向かわないという選択肢はなかったぐらいだ。ところが19年のランスオブプラーナを最後に、このローテーションをとる馬は出てきていない。20年以降の毎日杯覇者の「その後」を見ると、サトノインプレッサはNHKマイルCを経て、日本ダービーに参戦。そしてシャフリヤール、ピースオブエイト、シーズンリッチの3頭は日本ダービーに直行した。もはや、毎日杯は事実上のダービートライアルといっても過言ではないのだ。

 これは施行条件の変更と無関係ではない。06年以前、毎日杯は阪神芝2000mが舞台だったので、同じくコーナー4つ、かつ直線に急坂がある中山芝2000mの皐月賞とリンクしていた。実際、毎日杯の勝ち馬が皐月賞で人気を集めることも珍しくなかった。

 しかし、07年に毎日杯が阪神芝1800mとなったことで、レースの性格が変化。ゆったり流れて上がり勝負…というレースが増えたため、似たペースとなりやすい日本ダービーと相関関係が出てきたのだ。07年以降の毎日杯の勝ち馬からディープスカイ、キズナ、シャフリヤールとダービー馬が続出しているのは決して偶然ではない。ちなみに同期間の皐月賞馬はアルアイン一頭である。

 今年も皐月賞というよりは、NHKマイルCやダービーをターゲットに据える馬が多くエントリーしてきた。このレースを弾みに、東京の大舞台に飛躍するのはどの馬か。いずれにしても見逃せない一戦となることは間違いない。