(18日、第96回選抜高校野球大会1回戦 熊本国府2―1近江) タイブレークの十回無死一、二塁。熊本国府の横手投げの左腕・植田凰暉(ごうき)は落ち着いていた。 くるっと背中を打者に向ける「トルネード投法」から直球を放る。先頭打者のバントを素…

(18日、第96回選抜高校野球大会1回戦 熊本国府2―1近江)

 タイブレークの十回無死一、二塁。熊本国府の横手投げの左腕・植田凰暉(ごうき)は落ち着いていた。

 くるっと背中を打者に向ける「トルネード投法」から直球を放る。先頭打者のバントを素早く処理し、三塁で封殺。次打者は直球で遊ゴロ併殺打に仕留めた。この回をたった3球で無失点に抑え、その裏のサヨナラ勝ちを呼び込んだ。

 入学時は上手投げだったが制球に難があり、山田祐揮監督から横手投げを勧められた。悩んだが、その当時見た夏の全国選手権が転身を決意させた。

 同じ熊本県出身で、同じ左腕。明徳義塾のエース吉村優聖歩(ゆうせふ)(現巨人)が、打者にいったん背を向ける独特の横手投げで打者を抑えていた。動画を何度も繰り返し見てまねした。約5カ月経って、ようやくしっくりくるようになった。

 八回から登板した甲子園のマウンドは、「観客の反応が大きくて怖かった」。だが、それも、十回には楽しめるようになった。その姿は高1の時に憧れた同郷の先輩にそっくりだった。(佐藤祐生)