■智弁和歌山前監督 高嶋仁の目 (18日、第96回選抜高校野球大会1回戦 星稜4―2田辺) ええ試合でした。21世紀枠の田辺(和歌山)が昨秋の明治神宮大会優勝校の星稜(石川)を苦しめた。健闘したと思います。 まずはバッテリーがうまかった。寺…

■智弁和歌山前監督 高嶋仁の目

 (18日、第96回選抜高校野球大会1回戦 星稜4―2田辺)

 ええ試合でした。21世紀枠の田辺(和歌山)が昨秋の明治神宮大会優勝校の星稜(石川)を苦しめた。健闘したと思います。

 まずはバッテリーがうまかった。寺西邦右(ほうすけ)投手は大きくインステップして投げます。球威はありますが、体に負担がかかって後半に球が浮く傾向があります。

 それを前田海翔(かいと)捕手が中盤、変化球をうまく使って、体力切れを防ぎました。

 攻撃では好走塁が光りました。三回は浅い右前安打で二塁走者の尾崎大晟(たいせい)選手が本塁生還。大きく腕を回した三塁コーチのファインプレーです。

 四回は二塁打を放った山本結翔(ゆいと)選手が、次打者の緩い三ゴロで判断よく三塁へ進みました。これが同点スクイズにつながりました。

 勝つチャンスはあっただけに、要所でのミスが痛かったですね。

 四回には、二塁手の失策で2点目を失いました。

 九回の決勝点の場面。1死一、二塁から変化球がワンバウンドとなり二、三塁に進まれた。

 記録は暴投でしたが、捕手は何とか進塁を防ぎたかったですね。

 低めにワンバウンドしたことで、変化球が投げづらくなったのかもしれません。

 勝負球の直球が浮いて痛打され、2点適時打となってしまいました。

 夏に向けて、細かいミスを減らし、狙い球を絞って打つなど打力を鍛えてほしいですね。

 ただ、投手はよく抑え、バントもきっちり決まっていた。立派な戦いでした。(智弁和歌山・前監督)