(18日、第96回選抜高校野球大会1回戦 石川・星稜4―2和歌山・田辺) 九回に2点適時打で勝ち越し、その裏の相手の粘りをしのいだ星稜(石川)が2回戦に進んだ。 副主将の竹下史紘(ふみひろ)選手(3年)に出番はなかったが、ベンチから声を張…

 (18日、第96回選抜高校野球大会1回戦 石川・星稜4―2和歌山・田辺)

 九回に2点適時打で勝ち越し、その裏の相手の粘りをしのいだ星稜(石川)が2回戦に進んだ。

 副主将の竹下史紘(ふみひろ)選手(3年)に出番はなかったが、ベンチから声を張り上げ、伝令にも走った。「気持ち一つで結果が変わる」と打者を送り出した。

 小学生で野球を始めた。「甲子園に行きたい」と星稜中に入学。全国優勝したが、肩を痛めて高校入学前に手術した。リハビリを続けながら肩を鍛え、昨秋の北信越大会でベンチ入りした。打席から盛り上がる観客席が見えた。あの光景が忘れられなかった。

 元日、能登半島地震が起きた。金沢市のグラウンドに亀裂が入り、しばらく屋内練習中心になった。2月まで外で練習することができなかった。「外でできない分、基礎的なことなど、できることをやろう」と仲間と声を掛け合った。

 チームの選抜出場が決まり、背番号10を受け取った。初の甲子園。めちゃくちゃ楽しみだった。

 祖父の塩谷一郎さん(86)と祖母の春美さん(77)は、地震の被害を受けた石川県穴水町で暮らす。竹下選手は発災翌日に町を訪れ衝撃を受けた。親戚宅は倒壊。祖父母の家は、壁にひびが入った。それでも「ふみちゃん、甲子園がんばってきてな」と応援してくれる。

 北信越代表として被災地の期待もかかる。「やるべきことをやる。そうすれば、被災地の方々が明るくなってくれるかもしれない」と話す。次は八戸学院光星(青森)。「積極的に全力プレーでいきたい」(小崎瑶太)