元日の能登半島地震から78日目となった18日、被災地の石川県から出場した星稜と日本航空石川の選手たちは、開会式で甲子園の土を力強く踏みしめた。堂々と、感謝あふれる笑顔で。 地震の影響で、星稜は年明けの練習始めが1週間ほど遅れた。ミーティン…

 元日の能登半島地震から78日目となった18日、被災地の石川県から出場した星稜と日本航空石川の選手たちは、開会式で甲子園の土を力強く踏みしめた。堂々と、感謝あふれる笑顔で。

 地震の影響で、星稜は年明けの練習始めが1週間ほど遅れた。ミーティングで山下智将監督は「これまで自分たちがやってきたことを信じよう」と訴えた。重ねた努力を震災で無駄にしてほしくないという願いからだった。

 この日の初戦は小差の試合を耐えて勝った。「これがウチの野球。粘って頑張ってくれた」と選手たちは山下監督の思いに応えた。

 校舎が震源地に近い日本航空石川の選手たちは、帽子に「笑顔 感謝 恩返し 共にがんばろう石川」と書き込んで第6日の常総学院(茨城)戦に臨む。系列校のある山梨県に拠点を移しての学校生活を余儀なくされ、いまだ能登へ戻るメドも立たない。だから団結の言葉に思いを込める。

 被災地は野球どころではないだろう。ただ、選手たちがやれることは、懸命に白球を追うこと。「今ありて、未来も扉を開く」――。故・谷村新司さんの選抜大会歌の歌詞にあるように、はつらつとした姿を地元に届けることで、1人でも前向きになれるきっかけとなってくれれば。(福角元伸)