「野球のまち」を掲げて地域おこしに取り組む徳島県阿南市に、還暦以上の女性たちでつくるチアリーディングチームがある。「ABO60」。全国規模の野球大会の応援やイベントで活躍中だ。魅力を知りたくてリーダーの都崎文恵さん(71)に聞いた。 ――…

 「野球のまち」を掲げて地域おこしに取り組む徳島県阿南市に、還暦以上の女性たちでつくるチアリーディングチームがある。「ABO60」。全国規模の野球大会の応援やイベントで活躍中だ。魅力を知りたくてリーダーの都崎文恵さん(71)に聞いた。

 ――活動のきっかけは

 還暦を機に、地域のために何かしたいなと考えました。当時から市は、古希や還暦を迎えた人たちの野球大会を市内の球場に誘致し、全国から草野球ファンに足を運んでもらう活動をしていました。そこで野球といえば、スタンドで応援するチアリーダーがいるのでは、と思いつきました。

 ――ユニークなチーム名ですね

 アイドルグループ「AKB48」にならって、「ABO60」と名付けました。「『あ』なん」「『ベ』ースボール」「『お』ばちゃん」「『60』歳以上」の意味で「エービーオーろくじゅう」と読みます。メンバーは市内在住限定の60歳以上で、元保育園長や元教員、主婦ら様々です。ユニホームは裁縫が得意なメンバーを中心に手分けして縫い、踊りはメンバーのフラダンス教室の先生のもとで月2回ほど練習しています。

 ――デビュー時の反響は

 2014年4月、地元のJAアグリあなんスタジアムで開かれた西日本生涯還暦野球大会でデビューしました。開会式はメンバー全員で、両手のポンポンを振りながら元気よくダンスを披露し、球場を盛り上げました。試合中は両チームのメンバー表を見ながら、打席に立つ選手に「○○さん頑張って!」と声援を送りました。最初は恥ずかしそうだった選手たちも、次第に打ち解けてグラウンドから声を掛けてくれました。

 そうやって毎年、色々な大会で応援するうちにリピーターも増えていきました。遠方のチームの皆さんに気に入ってもらい、「地元でぜひダンスを披露してほしい」と招待されることもあります。

 ――熱心に続けられる理由は

 約30人いるメンバーには夫に先立たれたり、病気に悩んだりした人たちもいますが、みんなチアリーディングが生きがいになっているようです。自分たちの応援で、たくさんの人たちを笑顔にしているという手応えが、メンバーの心の支えになっていると思います。

 ――皆さんお元気ですね

 最高齢は85歳。まだまだ元気いっぱいで100歳まで続けられそうなほどエネルギッシュです。一方で後継者も育てていきたいと考えていて、若手も募集中です。市内在住限定ですが、活動に興味がある人はぜひ加わって、一緒にチアリーディングを楽しんでほしいと思っています。(吉田博行)

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 つざき・ふみえ 1953年、徳島県阿南市生まれ。市嘱託職員を経て、約20年前からJR阿南駅近くで居酒屋「すたんどふ~みん」を営む。2014年の発足当初からリーダーを務める。市内在住の新メンバーを募集中で、問い合わせは一般社団法人「野球でまちを元気にする会」(090・4972・1719)へ。