第96回選抜高校野球大会は18日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する。愛知県勢の2校出場は2008年以来16年ぶり。豊川は大会第2日第1試合(19日午前9時開始予定)で阿南光(徳島)との、愛工大名電は第5日第3試合(22日午後2時開始…

 第96回選抜高校野球大会は18日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する。愛知県勢の2校出場は2008年以来16年ぶり。豊川は大会第2日第1試合(19日午前9時開始予定)で阿南光(徳島)との、愛工大名電は第5日第3試合(22日午後2時開始予定)で報徳学園(兵庫)との初戦を迎える。紫紺の優勝旗をめざして大舞台に挑む両チームを紹介する。

 豊川には忘れられない試合がある。昨秋の明治神宮大会準決勝で星稜(石川)に3―15で大敗した。鈴木貫太主将は「全国のレベルは全然違った」。グラウンドの得点板には、この試合のスコアを掲げている。

 悔しさを晴らすには、切れ目ない打線が機能するかが鍵だ。昨秋公式戦のチーム打率は3割9分5厘で出場32校中2位。チームには「ニキータに回せば何とかなる」という安心感がある。俊足で打率4割超の2年生・林優翔選手らが好機をつくり、昨秋6本塁打の3番モイセエフ・ニキータ選手につなげたい。

 打線は新基準の低反発バットへの移行に備え、木製バットを振り込んできた。阿南光は最速146キロ右腕の吉岡暖(はる)投手を擁するが、鈴木主将は「秋よりも芯で捉えられている」と自信を見せる。13日の大体大浪商(大阪)との練習試合では、モイセエフ選手が満塁本塁打を放った。

 オフシーズンは課題だった守備の強化に力を入れてきた。昨年11月に左ひじの手術をしたエース鈴木爽太投手も復帰。「内角に強気で投げたい」と意気込む。

 選抜大会は、10年ぶり2回目の出場。前回は4強入りした。甲子園に再び「旋風」を吹かそうと、昨秋まで白色だったユニホームの帽子は、10年前と同じ紺色のデザインを復活させた。

 鈴木主将は胸を張る。「何とかして勝ちたいと思い、一つ一つのプレーに力を入れてきた。豊川の野球ができるまで成長できたと思う」(良永うめか)

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 愛工大名電と同じブロックには、報徳学園など甲子園優勝経験がある5校が集まった。

 愛工大名電は投手陣の層が厚い。激戦区を勝ち抜くため、いかに打線が援護できるか。中軸に座る石見颯真、宍戸琥一、石島健の3選手に期待したい。

 昨秋のチーム打率3割9分3厘は、豊川に続いて出場校中3位だ。日頃から4種類以上の分析機器を使い、技術の精度を上げている。スイングの角度や速度、バットの軌道などを確認し、トス打撃でも推定飛距離を算出する。13日の甲子園練習でも機器をグラウンドに持ち込んだ。倉野光生監督は、データを重視する狙いを「自分の現在地、実力を知る。そして、どうなりたいかという目的地を知る」と話す。

 9日、いなべ総合(三重)との解禁後最初の練習試合で、石見選手は長打を複数放って順調ぶりをアピールした。昨秋は打率4割8分7厘、10打点。「個人成績にもこだわって戦う」という。昨夏の甲子園を経験した宍戸選手も昨秋は10打点、2本塁打はチームトップだ。石島選手はベンチプレスで115キロを挙げる強靱(きょうじん)さで、打球速度も速い。自慢のパワーで長打が狙える。

 報徳学園のエース今朝丸裕喜投手は最速150キロの本格派右腕。19年ぶりの優勝をめざす愛工大名電にとって難敵だが、山口泰知主将は「ロースコアの試合になると思う。守備から打撃につないで得点したい」と気を引き締める。(渡辺杏果)