大谷翔平投手とともに、今季からドジャースに加入した山本由伸。いきなり投手単独としてはメジャー最高額となる12年総額3億2500万ドル(約488億円)で契約し、世界一を目指すチームにとってもエース格の働きを求められている。160キロに迫る速…

 大谷翔平投手とともに、今季からドジャースに加入した山本由伸。いきなり投手単独としてはメジャー最高額となる12年総額3億2500万ドル(約488億円)で契約し、世界一を目指すチームにとってもエース格の働きを求められている。160キロに迫る速球とコントロールだけでも十分メジャーに通用しそうな山本だが、生命線となるのが決め球にしているスプリット。今、メジャーではこのスプリットが「再ブレイク」の兆しを見せている。

【映像】山本由伸のウイニングショット「スプリット」

 日本ではスピード、落差などによって「フォーク」「スプリット」と分けて表現されることも多いが、メジャーではどちらも「スプリット」と呼ばれている。ボールを人差し指と中指の間に挟み、抜くように投げることで打者の手元で急に落ちる球種で、空振りを奪う時に有効なもの。日本人投手でいえば、大フィーバーを巻き起こした野茂英雄が得意だったのが有名で、昨年は千賀滉大が「ゴーストフォーク」も大きな話題になった。

 このスプリット、一時は肩や肘に負担がかかるとして敬遠されがちになったことがある。そのため負担が少ないとされるチェンジアップに移行した投手も少なくなかった。ところがこの10年間、投球割合でずっと1%台だったスプリットが、昨年は2.3%まで増加した。

 2023年の球種別被打率を見ても、そのトレンドはよくわかる。スプリットの被打率は全球種を通じて最低の.196と唯一の2割以下。被長打率も.311と低い。合理性を求めるメジャーの投手たちも、この数字を見れば当たり前のようにスプリットを多用してくることだろう。中にはチーム単位でスプリットを推奨しているところもあるという。

 昨年、スプリットでの奪三振ランキングで、2位に入ったのは前述の千賀で110個。全202個のうち半数以上がスプリットだった。山本もストレートの次に投げる割合が多いのがスプリット。メジャー球との相性もあるが、決め球がNPB時代と同様に自在に扱えるようになれば、1年目からの大活躍も十分期待できる。
(データ協力:データスタジアム)