いかにも選手経験の実感がこもるコメントだ。ロッテでキャッチャーとして活躍、侍ジャパンではWBCで優勝も果たした里崎智也氏が、レギュラーシーズン後に行われる、勝ち上がりのポストシーズンについて「負けたら終わり。こんな楽な話はない。メンタル的…

 いかにも選手経験の実感がこもるコメントだ。ロッテでキャッチャーとして活躍、侍ジャパンではWBCで優勝も果たした里崎智也氏が、レギュラーシーズン後に行われる、勝ち上がりのポストシーズンについて「負けたら終わり。こんな楽な話はない。メンタル的に楽」と、当時の心境を明かした。

【映像】「負けたら終わりは楽」と語る里崎智也氏

 現在、国内のプロ野球もメジャーリーグも、長いレギュラーシーズンを終えた後、上位の成績を残したチームが3試合制、5試合制、7試合制といったポストシーズンを行い、日本一や世界一を決めるシステムになっている。昨季までエンゼルスに所属していた大谷翔平投手は、一度もポストシーズンに進んだことがなく、今季からはさらに大きな舞台を望んでドジャースへ移籍した。今シーズンは3月末から開幕し、ワールドシリーズまで勝ち残れば、10月末までプレーすることになる。実に7カ月間に渡る長丁場だ。

 リーグ優勝1回、日本一2回の経験を持つ里崎氏は、当時チームを率いていたバレンタイン監督のアメリカ式な考え方を振り返った。「日本式は開幕から全力で、最後に疲れたらキャンプ(の練習が)足りないくらいのことを言われる。アメリカ式はロー(低い)から入っていって、最後のポストシーズンに体調も上げていく」と説明した。長いレギュラーシーズンの開幕からフルに仕上げるのではなく、戦う中で徐々に状態を上げていき、接戦となるだろうシーズン最終盤、さらに負けたら終わりのポストシーズンに残った後は休みなしでフル稼働、という流れを理想にしているという。

 ポストシーズンに入れば、打者であれば打率、投手であれば防御率といったアベレージの成績を気にしている場合ではない。むしろ「5本のヒットより決勝打」と里崎氏が言うように、勝敗を決する重要局面でどんな働きができるかの方が、はるかに重要だ。どの選手も腹を括って戦いに挑むが、負ければ終わりという状況は、長いシーズンで出続けるレギュラー選手ほど、実は気楽なものだという。

 「ポストシーズンはめっちゃ楽。負けたら終わりだし、こんな楽な話はない。打率とかも気にしなくていいし、常に1打席1打席フレッシュな気持ち。メンタル的にはすごく楽」と話す一方、レギュラーシーズンについては「一番の地獄は、シーズン中に調子が悪くて打てないのに、明日も試合があること」と、気持ちがマイナスのまま次の試合が迫ってくることのプレッシャーについて熱弁していた。
(ABEMA「FAN FUN MLB」)