静岡県内初のプロ野球球団として2軍戦に参入した「くふうハヤテベンチャーズ静岡」が15日、本拠のちゅ~るスタジアム清水(静岡市清水区)で初めての公式戦を戦った。オリックスを相手に1―9で敗れたが、詰めかけた1631人の観客からは好プレーが出…

 静岡県内初のプロ野球球団として2軍戦に参入した「くふうハヤテベンチャーズ静岡」が15日、本拠のちゅ~るスタジアム清水(静岡市清水区)で初めての公式戦を戦った。オリックスを相手に1―9で敗れたが、詰めかけた1631人の観客からは好プレーが出るたびに拍手や歓声が沸いた。

 球場では開門前から多くの野球ファンが詰めかけ、行列ができた。三島市から来た中村亮斗さん(25)はDeNAファンで、倉本寿彦選手や田中健二朗投手を応援するために足を運んだ。「静岡初の球団として、楽しみにしている。勝ちにこだわってほしい」

 列にはオリックスファンも。長野市から来た中村智江さん(36)はオリックスのレプリカユニホームを着ていたが、熱海市の出身でくふうハヤテも応援している。「出身地に球団ができたのはうれしい。接戦を期待します」と話した。

 午前10時20分すぎに開門し、観客は一斉に内野席に駆け込んだ。くふうハヤテの応援グッズ売り場には人だかりができた。横浜市の村田江里夏さん(28)は田中選手の背番号が入ったレプリカユニホームを買い、早速着用。「オリックスを相手にくふうハヤテがどこまで粘れるか注目したい」

 試合はオリックスが得点を重ねる一方的な展開に。オリックス先発はWBCにも出場した宮城大弥投手で、五回までで2安打無得点に抑えられた。

 それでも六回裏に富山太樹選手が、2番手の東晃平投手から適時二塁打を放ち、チーム初打点を挙げた。試合後、「点差が開いていたので次打者につなぐつもりで打席に入った。コンパクトに振れ、ちゃんとミートできた」と話した。

 静岡高出身で、群馬大医学部から入団した竹内奎人投手は2番手で3イニングを投げた。ボール球が先行し、4四球を出して2失点。「いいところも、悪いところも出た。ストライク先行の投球ができなかった」。試合中に医師の国家試験の合否の発表があり、登板後、厚生労働省のホームページで合格を確認したという。「ほっとした。ただ、医師の道はいったん置いて、野球に集中したい」と喜びを語った。

 赤堀元之監督は「試合結果は残念だった。ファンの方からは温かい言葉が多く、もっとやらなきゃいけないという気持ちになったが、歴史的な一歩を踏み出せた」と、この日の試合を振り返った。(小山裕一)