3月18日に開幕する第96回選抜高校野球大会(センバツ)。今大会は「新基準バット」が導入され、打者の真価が問われる大会になりそうだ。そこで逆風をものともしない強打者を中心に10人の逸材野手を厳選。このなかに、未来の侍ジャパンメンバーがいる…

 3月18日に開幕する第96回選抜高校野球大会(センバツ)。今大会は「新基準バット」が導入され、打者の真価が問われる大会になりそうだ。そこで逆風をものともしない強打者を中心に10人の逸材野手を厳選。このなかに、未来の侍ジャパンメンバーがいるかもしれない。

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昨年秋の東海大会で打率.625をマークした豊川のモイセエフ・ニキータ

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モイセエフ・ニキータ(豊川3年/外野手/180センチ・82キロ/左投左打)

打席に立つだけで不思議な期待感が高まる左の強打者。昨秋時点で高校通算14本塁打と本数は目立たないものの、バットの芯でとらえた際の打球音は別格。東海大会では打率.625の大暴れを見せた。高校進学後に体重が16キロ増え、才能が開花。両親はロシア人で、学校生活では日本語、家庭内ではロシア語を使い分ける。高卒でのプロ志望を明言しており、大会2日目の阿南光(徳島)との初戦は大きな試金石になる。好投手・吉岡暖のストライクからボールに変化する球の見極め、数少ない甘い球をミスショットせずにとらえられるか要注目だ。


昨秋時点で高校通算28本塁打の大阪桐蔭・ラマル・ギービン・ラタナヤケ

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ラマル・ギービン・ラタナヤケ(大阪桐蔭3年/三塁手/180センチ・82キロ/右投右打)

底知れない可能性を秘めた右のパワーヒッター。昨秋時点で高校通算28本塁打を放つなど、ツボにハマった際の長打力は目を見張る。昨秋の明治神宮大会・関東一戦では神宮球場の右翼席に放り込むなど、3長打と気を吐いた。両親はスリランカ人で、愛知港ボーイズ(愛知)に在籍した中学時代からその名をとどろかせていた。初戦は大会5日目に北海(北海道)と対戦。新2年生の松田収司が投じる好球質の速球に、どんな反応を見せるか。昨秋は三塁守備に綻びを見せていただけに、攻守の進化に期待したい。


1年秋から大阪桐蔭の3番を担う徳丸快晴

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徳丸快晴(大阪桐蔭3年/外野手/178センチ・83キロ/両投左打)

天才的な打撃センスを誇る強打者。1年秋から大阪桐蔭の3番打者を担い、コンタクト能力と打球スピードは高校屈指。吉田正尚(レッドソックス)クラスの打者に成長する青写真を描ける素材だ。昨秋は打撃感覚を崩して不振だっただけに、今春は状態を立て直せるかに注目。世にも珍しい「両投左打」という特性を持ち、内野守備時には右投げ、外野守備時には左投げでプレーする。3歳上の兄・天晴はNTT西日本の大型打者で、今季の成長次第では兄弟揃ってのドラフト指名の可能性がある。



強肩強打の捕手、健大高崎・箱山遥人

箱山遥人(健大高崎3年/捕手/176センチ・78キロ/右投右打)

甲子園で暴れたい強肩強打の捕手。1年秋から正捕手となり、昨春センバツでは4番打者を任された。二塁送球タイムはコンスタントに2秒を切る強肩で、高校通算28本塁打の打撃はボールを自分の間合いに呼び込む技術がある。佐藤龍月ら複数の好投手をリードしてきたコミュニケーション能力も評価ポイントだ。健大高崎はほかにも大型遊撃手の田中陽翔、打撃センスが光る高山裕次郎らタレント揃い。初戦は大会2日目に学法石川(福島)との対戦。扇の要として支配力を見せつけ、一気に勝ち上がりたい。



昨年から広陵のクリーアップに座る只石貫太 photo by Ohtomo Yoshiyuki

只石貫太(広陵3年/捕手/178センチ・78キロ/右投右打)

類まれなエンジンを搭載する強肩捕手。1年秋から正捕手となり、超高校級スラッガーだった真鍋慧(大阪商業大進学)らとクリーンアップを組んだ実力者だ。エース右腕・高尾響の状態を敏感に察知し、臨機応変にリードできる思考力もたくましい。打者としてはパンチ力に加え、昨秋に公式戦12試合で17打点と荒稼ぎした勝負強さが光る。今大会は高校生ながら木製バットの使用を検討しており、大会4日目に組まれた高知(高知)との初戦ではどのバットを握るかにも注目したい。


公式戦で4本塁打を放っている常総学院・武田勇哉

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武田勇哉(常総学院3年/一塁手/182センチ・87キロ/右投右打)

右打席から才気を放つスラッガー。どっしりと重厚感のある下半身でボールを呼び込み、バランスのいいスイングで強烈な打球を生み出す。昨秋時点で高校通算11本塁打ながら、そのうち公式戦で4本を放っている点を評価したい。たくましい肉体とスイング時に一瞬でターンできるキレも将来性抜群だ。守備、走塁で特筆すべきポイントが乏しいだけに、いかにバットで存在感を示せるか。日本航空石川(石川)との初戦は大会6日目、出場する32校のしんがりとして登場する。


昨秋時点で高校通算44本塁打のスラッガー、関東一の高橋徹平

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高橋徹平(関東一3年/三塁手/180センチ・92キロ/右投右打)

パワフルさと愛嬌が同居する右の強打者。チーム内での愛称は「ブーちゃん」で、入学時に110キロあった体重を大幅に減量。身のこなしにキレが出てきたことから、昨秋時点で高校通算44本塁打の長打力につながっている。余計なアクションを排して効率よく飛ばす打撃技術を習得できれば、さらなる量産体制も期待できる。勉強中の三塁守備も着実にレベルアップ中。強肩強打の熊谷俊乃介らと組むクリーンアップは破壊力抜群だ。大会初日の開幕戦にドラフト候補左腕の洗平比呂を擁する八戸学院光星(青森)と対戦する。


身体能力抜群の中央学院・颯佐心汰

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颯佐心汰(中央学院3年/遊撃手/176センチ・70キロ/右投右打)

運動能力が際立つアスリート型遊撃手。体格的には平凡ながら、50メートル走5秒8で駆ける快足と投手としても最速148キロをマークする強肩を武器にする。プロ側にとって高校生遊撃手の需要は高いのに反し、今大会は遊撃手の逸材が少ないと見られている。昨秋時点で特徴が乏しかった打撃面に進境が見られれば、バックネット裏はがぜん騒がしくなるはずだ。初戦は大会3日目に耐久(和歌山)と対戦する。颯佐を含め、俊足揃いの打線でかき回せるかに注目したい。


昨年夏の甲子園でも4番としてチームのベスト4進出に貢献した神村学園・正林輝大

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正林輝大(神村学園3年/外野手/178センチ・84キロ/右投左打)

強烈な打球スピードを誇る左の強打者。昨夏の甲子園でも4番を任され、5試合で打率.435と高打率を残してベスト4進出に貢献した。秋の国体では右翼スタンドに本塁打を放っている。基本的には広角に打てる打者だが、とくに腰の入ったスイングで引っ張る右方向の打球は破壊力がある。12歳上の兄・大樹さん(現・Honda熊本マネージャー)は諸富中(佐賀)時代に中学軟式で日本一に輝いた伝説的な選手。初戦は大会5日目に逸材右腕・小川哲平を擁する作新学院(栃木)と対戦する。


捕手としてのセンスが光る星稜・能美誠也

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能美誠也(星稜2年/捕手/174センチ・72キロ/右投左打)

昨秋の明治神宮大会優勝に導いた陰のMVP。2年生捕手ながら、先輩エース左腕の佐宗翼ら投手陣の手綱さばきは見事だった。50メートル走6秒2と俊敏で、フットワークを生かした守備が光る。二塁に向かって真っすぐ伸びていくスローイングは一見の価値ありだ。バランスの取れた強打者が並ぶ打線にあって、昨秋は6番を打つことが多かったがスイングのキレは出色。体格的には平凡ながら、試合が深まるにつれ存在感を増してくるキープレーヤーだ。初戦は大会初日に21世紀枠で出場する田辺(和歌山)と激突する。