広陵(広島)の背番号「1」とは――。 いま、伝統校のエースナンバーを背負う高尾響(3年)は「勝てる投手。それも(プロ野球など)上のレベルでも勝てる投手が背負ってきているもの」とその重みを話す。 最速148キロ。中井哲之監督(61)から「野…

 広陵(広島)の背番号「1」とは――。

 いま、伝統校のエースナンバーを背負う高尾響(3年)は「勝てる投手。それも(プロ野球など)上のレベルでも勝てる投手が背負ってきているもの」とその重みを話す。

 最速148キロ。中井哲之監督(61)から「野球小僧で野球センスも高い。(性格は)小生意気」と評価される強心臓の右腕は、1年春からその番号を任されてきた。

 「いきなりで、その重みは感じた。でもプレッシャーになるというよりは、力になった」

 昨年は春夏と連続で甲子園の土を踏んだ。西村健太朗(元巨人)、野村祐輔(広島)、有原航平(ソフトバンク)……。これまで「1」を背負った先輩たちに、追い求めるエース像に、少しずつ近づけていると感じていた。

 それが秋以降、「遠のいた」。

 中国王者として明治神宮大会に臨んだが、星稜(石川)との1回戦で制球に苦しんだ。三回には5安打を浴び、自身のバント処理の失策も絡み、一挙5失点。四回にも2点を失い、6回7失点で負けた。

 「先輩に支えてもらう側から後輩を支えていく番になり、自分が抑えないといけないという気持ちが強くなった」。それまでにない重圧が力みにつながった。

 昨年、全国の舞台で負けた相手は、春が山梨学院、夏が慶応(神奈川)、そして神宮大会は星稜。いずれも、その大会で優勝した学校だった。3試合とも「自分が試合の流れを崩した」と悔いを残した。「あと一歩足りない。そこを埋めていこう」

 この冬、これまでよりも左足をゆっくり上げる投球フォームに変え、「コントロールがまとまってきた」。直球にスピンが利き、変化球との緩急にも磨きがかかった。

 1月26日、選抜大会出場を決めると、「日本一のスタートライン」と言い切った。泣いても笑っても、引退まではあと5カ月ほど。広陵のエースに、もう負けはいらない。(大坂尚子)