冬に入り、室内アーチェリーのシーズンが始まった。2月中旬に行われた全日本室内選手権に続き、全日本学生室内個人選手権(インカレインドア)が2日間にわたって長崎県で開催された。早稲田大学からはリカーブ部門に髙見愛佳(スポ4=エリートアカデミー…
冬に入り、室内アーチェリーのシーズンが始まった。2月中旬に行われた全日本室内選手権に続き、全日本学生室内個人選手権(インカレインドア)が2日間にわたって長崎県で開催された。早稲田大学からはリカーブ部門に髙見愛佳(スポ4=エリートアカデミー)、塚本美冴(スポ3=東京女学館)、丸尾風瑛(スポ2=福岡・柏陵)の3人、コンパウンド部門に廣木円華(人4=茨城・水戸二)が出場した。4年生の髙見と廣木にとってこの大会は早稲田大学アーチェリー部として出場する最後の試合となる。リカーブ部門に出場した3人は全員1日目の予選ラウンドを通過。2日目の決勝ラウンドの結果、丸尾と髙見が17位、塚本が9位に入り、全員が昨年から大きく順位を伸ばした。新しくコンパウンドにチャレンジした廣木は惜しくも予選通過とはならなかった。
行射する丸尾
アウトドアアーチェリーと異なりインドアアーチェリーでは18m先の縦に並んだ3つの的を順番に射つ。1日目の予選ラウンドは計60射を射つ18mラウンドが行われた。リカーブ部門では上位32人、コンパウンド部門では上位2人が翌日の決勝ラウンドに出場する。リカーブ部門では、丸尾が第1エンド、289点で自己試合新記録を更新し、そのまま勢いに乗って30位で予選を通過した。「当日の調子はあまりよくなかった」が、スコーパーの井上空(創理4=東京・早大学院)や廣木のおかげで落ち着いて試合に臨めたという。地元での開催となった髙見は、高井美咲(神戸学院大)と同点で32位に入ったため、予選通過をかけてシュートオフを行うことに。何も覚えていないほど緊張したと振り返った1射だったが、見事10点を射抜き予選通過を果たした。塚本は安定感のある射を見せ、トータルで自己試合新記録を更新。15位で目標としていた予選通過を達成した。今回コンパウンド部門に出場した廣木は昨年のインカレインドアではリカーブ部門に出場しており、6位入賞。昨年の全日本学生王座決定戦(王座)以降アーチェリーから離れる期間が続いていたが、夏に初めてコンパウンドボウに触れ、秋から本格的に練習してきた。今大会は優勝を目標に出場したが、結果は惜しくも予選敗退。リカーブとは10点の面積が異なる的に苦戦したが、「新しい種別で挑戦することができたことを自分で誇りに思う」と悔いなく試合を終えた。
2日目の決勝ラウンドはトーナメント方式で行われた。初戦で丸尾は予選順位3位の選手と対戦。初めは「自分の射ち方ができなかった」と2セットを連取されるが、そこから盛り返し、セットポイント3-5まで追い上げる。しかし、最後のエンドは相手に同点にされ、3-6で敗れた。髙見は1回戦で予選順位1位の選手相手に2セットを連取。そのまま勝利するかのように思われたが、3エンド以降、相手がほとんどの射を10点に入れる集中力を見せ、惜しくも4-6で1回戦敗退となった。「学生最後という大事な試合を長崎でできたことがすごく嬉しかった」と最後の試合を笑顔で締めくくった。「自身がしっかりと射って点数を出せばポイントが取れるということ」を頭においてずっと試合をしていたという塚本は、その言葉通り自分の射を崩すことなく、1回戦を6-4で勝利。2回戦はそれぞれのエンドで僅差の戦いとなったが、最終的に2-6で敗れ、9位となった。
集合写真に納まる部員たち
インドアのシーズンは終わり、これから再びアウトドアのシーズンがはじまる。あと1か月ほどすれば王座出場をかけた関東学生リーグ戦(リーグ戦)が開幕する。その中でも主力としての活躍が期待されているであろう塚本と丸尾は、大会後すでにアウトドアに気持ちを切り替えて、先を見据えていた。悲願の王座制覇に向けて昨年の悔しさを晴らす活躍を期待したい。
※掲載が遅れてしまい、申し訳ございません。
(記事 梶谷里桜、写真 早大アーチェリー部提供)
結果
▽リカーブ男子
◇予選ラウンド ※ボーダー:569点・上位32名が決勝ラウンドに進出
丸尾 29位 569点
◇決勝ラウンド
1回戦
●丸尾4-6竹中(近大)
◇最終結果
丸尾 17位
▽リカーブ女子
◇予選ラウンド ※ボーダー:545点・上位32名が決勝ラウンドに進出
塚本 15位 565点
髙見 32位 545点
◇決勝ラウンド
1回戦
〇塚本6―4加藤(近大)
●髙見4-6朝久野(近大)
2回戦
●塚本2-6上原(同大)
◇最終結果
塚本 9位
髙見 17位
▽コンパウンド女子
◇予選ラウンド ※ボーダー:559点・上位2名が決勝ラウンドに進出
廣木 4位 547点
◇最終結果
廣木 4位
コメント
髙見愛佳(スポ4=エリートアカデミー)
――地元での開催となりましたが、会場の雰囲気などいかがでしたか
インカレインドア(全日本学生室内選手権)の1週間ほど前に同じ会場で開催された全日インドア(全日本室内選手権)でスタッフをしていたこともあって、知っている会場だったので、心の準備をしやすかったなという印象でした。
――予選通過をかけたシュートオフを振り返っていかがですか
予選通過をかけたシュートオフは、今までの競技人生で初めてのことだったので、緊張しすぎてあんまり記憶がないです(笑)。ただ、シュートオフの可能性があると分かってから、早稲田のみんなや、慶應や日体(日本体育大)など関東の大学の選手やコーチの方、また地元長崎の方や母が応援に来てくれて、すごく心強い応援の中で射てたことが勝利に繋がったかなと思います。ただただ、必死で射った1本でした。
――決勝ラウンドを振り返って
決勝ラウンドはとにかく楽しもうと思っていました。(予選を)通ったからには1本でも良い射をしたいと思っていて、最初の2エンド取れたことは大きかったのですが、そこからは相手がやはり1枚上手だったなと思います。ただ、最後の1本、私が10点を決めていれば勝てた勝負で、8点を射ってしまったことは悔しいです。でもしっかりトーナメントを戦えたことは嬉しかったです。
――早稲田大学として出場する最後の試合だったと思いますが、振り返っていかがですか
「最後なんだな」という気持ちよりも「長崎で試合ができる」という気持ちの方が強かったこともあって、振り返ればあまり最後という実感はなかったなと思います。でも、学生最後という大事な試合を長崎でできたことがすごく嬉しかったです。3月に2試合ほど記録会に出て、一旦競技から少し離れる形にはなるのですが、また戻ってくることができたら戻ってきたいなと思いますし、アーチェリーにはこれからも関わっていきたいなと思います。
廣木円華(人4=茨城・水戸二)
――コンパウンド部門での出場となりましたが振り返っていかがですか
インカレの前に何度か試合に出場しましたが、1年ぶりの全国大会、そして新しい種別でのチャレンジということもあり緊張していました。試合でのチェックポイントを決めて臨みましたが、リカーブよりも小さい10点に苦戦し点数は自己ベストから大きく下回る結果になりました。しかし、同期の井上(空)がスコーパーとしてついてくれたり、後輩の丸尾(風瑛)が応援してくれたりと、1人で戦っているわけではないなと実感し感謝の気持ちでいっぱいです。
――コンパウンドに挑戦しようと思ったきっかけは
コンパウンドを始めたきっかけは、バイト先の社員の方に誘われたことです。王座が終わり弓を持たない期間が続いていたときに、「もうアーチェリーやらないの?コンパウンドやってみないか?」と誘っていただきました。リカーブに比べ、練習量が少なくても競技を続けやすいことから、チャレンジしてみることにしました。夏に初めてコンパウンドボウに触れ、秋頃から本格的に練習をし始めました。インカレインドアに照準を合わせ、優勝を目指して練習をしていました。
――リカーブと比べてやりづらいところや難しいところはありましたか
大きく異なることは、10点の面積が小さいことです。9点と10点を合わせた面積は同じですが、リカーブではインナーテンと呼ばれているところがコンパウンドの10点です。そのため、9点をうつことが多くなかなか10点に入らないエンドが続きました。
――結果を振り返っていかがですか
インカレインドア優勝という目標を達成することが叶わず大変悔しい気持ちでいっぱいです。しかし、一度は弓から離れていた時期があったにもかかわらず、再開して新しい種別で挑戦することができたことを自分で誇りに思います。優勝が目標ではありましたが、そこに向けて毎回の練習で成長を感じることができ、練習を支えてくださった多くの方々に感謝したいと思います。
――今回が早稲田大学として出場する最後の試合だったと思いますが、今後のアーチェリーの予定などあれば教えてください
エンジのユニフォームを現役生として着ることが最後であることは寂しいです。しかし、OGとして今後もワセダアーチェリーを応援し支えていきたいと思います。また、個人としても社会人アーチャーとして練習を積んでいく予定です。オールワセダのOBOG戦で活躍するのを現役のみんなに楽しみに待っていて欲しいです。
塚本美冴(スポ3=東京女学館)
――どんな目標で試合に臨みましたか
昨年逃した決勝ラウンドに進むことと、迷ったら引き戻して、全ての射を自信を持って射つことの二つの目標を立てて臨みました。
――トータル自己試合新記録で予選通過しました。振り返っていかがでしたか
昨年よりもインカレインドアということを特別意識することなく冷静に射てたので、大きな外しが無く、結果として自己試合新記録を出すことが出来たのではないかと思います。
――決勝ラウンドの1戦目では、相手に逆転されるも、追いついてからの勝利でした。振り返っていかがですか
決勝ラウンド通して自分自身がしっかりと射って点数を出せばポイントが取れるということのみを頭に置いていました。途中ポイントを取られた時は単純に自分が良くない射ち方をしていただけだったので、逆転されたときにも深く考えることも無く、その後は自分に集中して射ち続けた結果、しっかりと射てて最終的には勝てたのかなと思います。
――結果を振り返っていかがですか
昨年よりも順位を上げられたこと、予選では自己試合新を射てたことから全体的には満足いく結果を出せたのではないかと思います。
――これからに向けての意気込みをお願いします
今シーズンのインドアはインカレインドアで終わりなので、ここからは70mに切り替えて、リーグ戦(関東学生リーグ戦)・王座(全日本学生王座決定戦)で結果を残せるよう、準備をしていきたいと思います。
丸尾風瑛(スポ2=福岡・柏陵)
――当日の調子や会場の雰囲気はいかがでしたか
当日の調子は、あまりいいものではありませんでした。ここ最近は、練習での点数も良いものではなくて、不安定な状態で当日を迎えてしまいました。全国大会特有の緊張感がある一方で、4年生の方々は学生最後の大会ということでこの競技や他の選手との会話を楽しんでるような、良い雰囲気だったと思います。
――予選の第1エンドは自己試合新記録を更新しました。予選ラウンドを振り返っていかがでしたか
不思議な予選ラウンドでした。フォームのことを考えたら、なんであの点数が出たのか分かりません。エイミングが長く時間はギリギリで、射つ瞬間に無理矢理振って捩じ込んでいるような感じでした。昨年、予選ラウンド中に的外に1本射ってしまい、シュートオフの結果予選落ちしてしまいました。なので、絶対に通過したいという気持ちから高い緊張感を持っていました。一方で、大好きな井上(空)さんがスコーパーで後ろにいることや、(廣木)円華さんが朝から応援に来て下さったことによる安心感がありました。この2つがよい集中に繋がったんだと思います。なので、お2人にはとても感謝しています。
――決勝は予選順位が3位の選手との対戦でしたが、5セット目までもつれる試合となりました。振り返っていかがですか
もっと自分の射をして、せめてシュートオフまで持ち込みたかったです。インドアはあまり点数帯が変わらないので、セット戦、特に当日の感覚を掴みきれない1回戦は、正直運なんじゃないかと思っています。なので、相手が予選3位でも勝利するつもりでいました。予選ラウンド同様自分の射ち方ができず4点ビハインド、途中から感覚を掴んできて点数を点数を取ることができましたが、最後は自分のミスで負けてしまいました。
1回戦を勝利することができれば2、3回戦と高校の後輩、同期との対戦が待っていたので、2人と対戦したかったなと自分のミスを凄く後悔しています。
――これからに向けての意気込みをお願いします
インドアシーズンは終わり、これからはアウトドアが始まります。2ヶ月ほどしたら王座出場を掛けたリーグ戦もあります。昨年は、悔しくも王座に出場することはできませんでした。本当に悔しくて、この1年間残ったメンバーは努力し点数を伸ばしててきました。昨年は応援してくれていた1年生も今年は選手として一緒にリーグ戦に臨みます。王座制覇、この目標に向けて、まずはリーグ戦を突破できるように自分の調整はもちろん、そこに向けてチーム力も高めていきたいと思います。