2場所連続優勝を目指す横綱照ノ富士は小結錦木に屈し、黒星スタート。4人体制になった大関陣は明暗がわかれた。新大関の琴ノ若とカド番の貴景勝ははたき込みで白星発進。一方で霧島と豊昇龍は引き技を食って敗れた。新入幕の尊(たける)富士は勝ち星をつ…

 2場所連続優勝を目指す横綱照ノ富士は小結錦木に屈し、黒星スタート。4人体制になった大関陣は明暗がわかれた。新大関の琴ノ若とカド番の貴景勝ははたき込みで白星発進。一方で霧島と豊昇龍は引き技を食って敗れた。新入幕の尊(たける)富士は勝ち星をつかんだ。

 埼玉栄高はOBが幕内に11人、十両に3人いる一大勢力。その一人、新大関琴ノ若が幕内土俵入りで締めた化粧まわしは先月、同校から贈られたものだ。

 OBの化粧まわしは基本的にスクールカラーのオレンジ地。だがこの日の琴ノ若は黒地で、馬簾(ばれん)と呼ばれる房が金色だった。

 黒や紫と金の色づかいは大関昇進者だけに同校から贈られる特別製。第1号の豪栄道(現武隈親方)、現役の貴景勝と、自分しかいない。「また一つ、気が引き締まった」と言う。

 琴ノ若は埼玉栄に中、高6年間通った。中学卒業後に角界入りするつもりでいたが、相撲部の山田道紀監督は、当初から6年かけて育てようとしていた。大きい割に筋肉量が少ない体の弱さを見抜き、稽古と食事で鍛えてきた。

 中学入学からしばらく実績をあげられず、結果が出たのは高校3年になってから。高校総体の団体戦、大将を務めた決勝で高校横綱をうっちゃりで破った。

 6年間を「原点」と表現し、「土台を作ってくれた」と感謝する。佐渡ケ嶽部屋でもまれ、その幹から枝葉が伸びた。

 大関として初めて上がったこの日の本土俵で、伸び盛りの熱海富士をはたき込みで退けた。支度部屋では泰然自若。「(大関に)上がったからって何か変わるわけじゃない」と言い、先を向いた。「自分らしく、上(横綱)をめざしてやっていく」(鈴木健輔)

■錦木、横綱倒しても「6勝でいい」

 3場所ぶりに小結に復帰した錦木が、波乱続きでわいた初日の土俵をさらに盛り上げた。横綱照ノ富士に先に上手を引かれ土俵際に詰められた。これをこらえるとタイミングよく左を巻き替えて両差しになり、前へ。横綱の左右の揺さぶりをこらえ寄り切った。

 攻防の末の白星に「しっかり勝ったって感じ」と33歳。新三役だった昨年秋場所は、けがもあって5勝10敗に終わった。好スタートに景気のいい目標を掲げたくなるが、「6勝でいい。過去の自分を抜く。まずはそこから」。ベテランらしく、地に足が着いている。