阪神で好投を続けている岡留(C)産経新聞社 またしても待望の勝利はお預けとなった。それでも阪神にはレギュラーシーズンの開幕に向け、十分すぎる収穫があった。 3月10日に甲子園球場で行われた巨人とのオープン戦で阪神は4-5で敗戦。終盤…

阪神で好投を続けている岡留(C)産経新聞社

 またしても待望の勝利はお預けとなった。それでも阪神にはレギュラーシーズンの開幕に向け、十分すぎる収穫があった。

 3月10日に甲子園球場で行われた巨人とのオープン戦で阪神は4-5で敗戦。終盤8回に1点差まで詰め寄るも逃げ切られ、不安が募る9連敗。岡田彰布監督がしきりに強調するように、あくまでオープン戦ではある。がしかし、この日も球場にはため息が漏れた。

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 そんなどこか足の重い猛虎にあった出色の働きを見せたのが、岡留英貴だ。この巨人戦で先発マウンドに立つと、2回(25球)を投げて被安打1、無失点の好投をした。

 アマチュア球界の名門・亜細亜大から21年にドラフト5位で入団した24歳は、この春季キャンプで岡田監督が「投手のMVP」に指名するなど順調な仕上がりを披露。オープン戦でも、この巨人戦前まで2登板で防御率0.00、WHIP1.00と抜け目のない内容と結果を出していた。とりわけ圧巻なのは、13.50という奪三振率の高さだ。中継ぎが本職ということを考えても勝負所で計算の立つ投手に成長したと言えよう。

 もっとも、岡留は昨季から存在感を露わにはしていた。2軍では34.1イニングを投げ、防御率1.31、WHIP0.76、被打率0.26、奪三振率10.75とほぼ無双状態。敵なしと言っても過言ではない結果を記録。1軍でも8登板(7イニング)とスモールサンプルながら、防御率1.29、被打率.217、WHIP0.86と期待を持たせる内容で投げていた。

 今オフも阪神は目立ったFA補強も行わなかった。そのなかで昨年の就任時から守備の徹底に重きを置いてきた岡田監督のチームにあって、投手陣、とりわけ中継ぎ陣の強化は、球団史上初の連覇の“肝”ともなる。湯浅京己らの調整不足感が否めないここまでをみても、新進気鋭の台頭は頼もしい。

 そうした状況下で岡留が計算できる投手へと独り立ちすれば、まさに鬼に金棒。昨シーズンに他球団をねじ伏せた投手陣がより強固なものになるという青写真を描けなくもない。

 いまだ勝利なく、虎党はモヤモヤ状態が続いている。そのなかで結果を出し続けている岡留の成長は、数少ない吉報と言えよう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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