18日に開幕する第96回選抜高校野球大会の組み合わせ抽選会が8日、大阪市内であった。21世紀枠で初出場の別海は第3日の第1試合(開始予定20日午前9時)で創志学園(岡山)と、3年ぶり14回目出場の北海は第5日の第2試合(同22日午前11時…

 18日に開幕する第96回選抜高校野球大会の組み合わせ抽選会が8日、大阪市内であった。21世紀枠で初出場の別海は第3日の第1試合(開始予定20日午前9時)で創志学園(岡山)と、3年ぶり14回目出場の北海は第5日の第2試合(同22日午前11時半)で大阪桐蔭と、それぞれ対戦が決まった。

 決勝まで同県対決を避けるため別海と北海は別々のブロックに入った。くじを引いたのは両校ともブロックの最後。すでに対戦相手が絞り込まれていた。

 「大阪桐蔭と広陵が残っていたので『大阪桐蔭、来い』と念じていた」と北海の金沢光流主将。前日にチームメートに「大阪桐蔭を引いてくる」と宣言していたという。「本当になった。持っています」と笑った。目標は日本一。大阪桐蔭は昨秋の近畿王者で、過去に春夏通算9回の甲子園優勝を誇る「最強」の相手だ。「いきなり決勝。初戦突破で日本一が見えてきますね」と金沢主将。一方で平川敦監督は「もう当たって砕けろですよ。粘って粘って勝機を見いだしたい」と苦笑いだった。

 別海は秋季中国大会準優勝の創志学園との対戦が決まった。中道航太郎主将は他校の主将と話したり、組み合わせが決まるたびに目を見開いたり、抽選会の雰囲気を楽しんだ様子。「全国の強豪校との対戦にワクワクする」と笑顔を見せた。創志学園の門馬敬治監督は東海大相模(神奈川)を率いて春夏通算4回、甲子園を制している。島影隆啓監督は「相手は優勝監督。すべての面で学びたい」と笑顔。「出場校の中で自分たちは一番弱い。今さらジタバタしても仕方ない。全力でぶつかるだけ」と話した。(佐々木洋輔)

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 別海・中道航太郎主将 北海道外の学校との対戦は初めて。どこが相手でも、自分たちより強い。全国の強豪校に別海野球がどれだけ通用するのか楽しみ。高校野球らしいはつらつとした全力プレーを見せたい。

 創志学園・豊島虎児(とらじ)主将 相手は部員が20人おらず、練習環境も厳しい中、甲子園に出てきた。チームワークでひとつになっていると感じる。負けじと、ずっとめざしてきた優勝へ、一戦必勝で戦いたい。

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 北海・金沢光流主将 一番対戦したかった相手。とにかく強いという印象しかない。全員が力強いスイングで、逆方向にも飛ばせる。初回の入り方が大事。雰囲気にのまれないようにしたい。

 大阪桐蔭・宮本真司郎主将 相手は守備からリズムをつくる粘り強い野球をしていたのが印象的だった。うちも負けないよう粘り、1~9番の打者がつないで着実に加点したい。目の前の一戦一戦を大切にする。

■別海(北海道、初出場)

 人口よりも牛の頭数が多く、牛乳の生産量日本一の酪農の町・別海町から21世紀枠で出場。オホーツク海に面する公立高の選手16人が最東端から出場する。

 全道大会に進むために10に分かれる地区大会を勝ち抜く必要がある北海道で、昨秋、釧根地区を4年ぶりに突破。初戦は九回2点本塁打で逆転サヨナラ勝ちで春夏秋の全道(夏は北北海道)大会で初勝利を挙げると、続く準々決勝は選抜大会出場歴のある知内を延長タイブレークで破って4強に駆け上がった。準決勝は優勝した北海に敗れたものの、終盤まで1点を争う好勝負を演じた。

 バッテリーを中心に堅守だ。エース堺暖貴(3年)は身長180センチから右横手投げの粘投派。全道3試合で計409球を投げ暴投・捕逸はゼロ。捕手の中道航太郎主将(同)は勝負強く、全道の2試合で決勝打を放った。

 1950年創立。普通科ほか酪農経営科がある。町内のコンビニで副店長を務める島影隆啓監督が2016年に就任。部員4人でグラウンドづくりから始めた。(佐々木洋輔)

■創志学園(岡山、7年ぶり4回目)

 東海大相模(神奈川)を春夏計4度の甲子園優勝に導いた門馬敬治監督が就任して2年目にして初、春は7年ぶりの出場となる。

 ともに140キロ台の速球を持ち、完投能力を備えた左腕の山口瑛太、右腕の中野光琉の両投手が軸。公式戦11試合で9失策と、堅実な守備が支える。

 亀谷理仁、後藤龍太朗、豊島虎児と左の好打者が上位打線を担う。門馬監督が前任校時代から掲げる「アグレッシブ・ベースボール」を攻走守に貫く積極的な試合運びが信条だ。

 創部1年目の2011年春に初出場して話題になった。卒業生には阪神の西純矢、亜細亜大から昨年のドラフト1位で中日に指名された草加勝らがいる。(大野宏)

■北海(北海道、3年ぶり14回目)

 2季連続の甲子園で選抜は3年ぶり14回目。選抜大会では1963年に準優勝して以来の決勝、さらには道勢初の優勝旗をめざす。

 昨年は春、夏(南北海道大会)、秋のいずれも制し、「道内常勝」の北海を印象づけた。16強入りした昨夏から主力4人が残り、平川敦監督は「甲子園経験がある選手が多いのは強み」と自信をのぞかせる。

 課題は「投手陣の踏ん張り」(平川監督)。昨秋は内野手の金沢光流主将(3年)に背番号1を与え、投手陣に「エースをつかみ取れ」と鼓舞した。昨秋は背番号11の右腕・松田収司(2年)が全道大会決勝を投げきって一本立ちした。松田は続く明治神宮大会でも関東王者の作新学院を相手に九回無失点の好投を見せ、エース格への成長を見せた。

 1885年創立の私立。夏は全国最多40回の出場。卒業生に野球殿堂の若松勉さん(元ヤクルト)ら。(佐々木洋輔)

■大阪桐蔭(大阪、5年連続15回目)

 甲子園出場は春15回、夏12回の通算27回目となる。選抜大会は5年連続の出場で、2年前には頂点に立っている。

 昨秋は近畿大会3連覇。ただ、その後の明治神宮大会は初戦で敗退した。チームは「しっかり鍛え直したい」(西谷浩一監督)と冬を越え、今大会に臨む。

 投手陣は平嶋桂知(かいち)が中心。身長186センチ、直球は最速154キロで、新チームでは48イニングを投げて48三振を奪っている。変化球のキレが良い南陽人や、最速151キロの2年生・森陽樹もいる。

 打線は公式戦12試合で打率3割1分。前回の選抜にも出た3年生の徳丸快晴とラマル・ギービン・ラタナヤケが引っ張る。チームの本塁打は6本で、うち5本がラマルだ。(西晃奈)