第96回選抜高校野球大会の組み合わせ抽選会が8日、大阪市内であり、出場32校の1回戦の対戦相手が決まった。 第5日(22日)は神村学園(鹿児島)―作新学院(栃木)、大阪桐蔭―北海(北海道)、愛工大名電(愛知)―報徳学園(兵庫)の顔合わせと…

 第96回選抜高校野球大会の組み合わせ抽選会が8日、大阪市内であり、出場32校の1回戦の対戦相手が決まった。

 第5日(22日)は神村学園(鹿児島)―作新学院(栃木)、大阪桐蔭―北海(北海道)、愛工大名電(愛知)―報徳学園(兵庫)の顔合わせとなった。1回戦最後のカードは第6日(23日)の第1試合で、日本航空石川と常総学院(茨城)が対戦する。

 8校の横顔を紹介する。

 ■神村学園(鹿児島、9年ぶり6回目)

 2003年の創部から、春夏通じて12回目の甲子園出場となる。05年の選抜大会では甲子園初出場で準優勝を果たし、今回は初の頂点をめざす。

 昨夏の選手権大会では、初の4強入り。新チームには甲子園を経験した選手が多く、勢いに乗って昨秋の鹿児島県大会を制した。九州大会では準決勝で優勝校の熊本国府に敗れたが、両大会の計8試合の通算成績は84安打63打点、失策は5と、攻守でレベルの高さを示した。

 投手陣を引っぱるのは、最速141キロの力強い速球に変化球を織りまぜる左腕の今村拓未(3年)だ。打線では、昨夏の甲子園大会でも活躍した正林輝大、岩下吏玖(りく)(同)、今岡拓夢(2年)が中軸に座る。(冨田悦央)

 ■作新学院(栃木、2年連続12回目)

 1902年創部の伝統校。甲子園には春夏を通じて27回出場し、1962年に史上初の春夏連覇を達成した。2016年の夏の選手権大会で2度目の全国制覇を成し遂げている。

 昨夏の栃木大会では決勝でサヨナラ負けを喫したが、新チームは秋の県大会を制し、関東大会でも7年ぶりの優勝を果たした。続く明治神宮大会では決勝で星稜(石川)に敗れたものの、終盤まで競り合う粘りをみせた。

 投手陣は最速147キロの右腕・小川哲平を筆頭に、横手投げの石毛虹晴ら救援陣も安定している。関東大会の決勝では、前年の大会で優勝した山梨学院を相手に28安打の猛攻をみせるなど、打線もつながりを増した。(高橋淳)

 ■大阪桐蔭(大阪、5年連続15回目)

 甲子園出場は春15回、夏12回の通算27回目となる。選抜大会は5年連続の出場で、2年前には頂点に立っている。

 昨秋は近畿大会3連覇。ただ、その後の明治神宮大会は初戦で敗退した。チームは「しっかり鍛え直したい」(西谷浩一監督)と冬を越え、今大会に臨む。

 投手陣は平嶋桂知(かいち)が中心。身長186センチ、直球は最速154キロで、新チームでは48イニングを投げて48三振を奪っている。変化球のキレが良い南陽人や、最速151キロの2年生・森陽樹もいる。

 打線は公式戦12試合で打率3割1分。前回の選抜にも出た3年生の徳丸快晴とラマル・ギービン・ラタナヤケが引っ張る。チームの本塁打は6本で、うち5本がラマルだ。(西晃奈)

 ■北海(北海道、3年ぶり14回目)

 2季連続の甲子園で選抜は3年ぶり14回目。選抜大会では1963年に準優勝して以来の決勝、さらには道勢初の優勝旗をめざす。

 昨年は春、夏(南北海道大会)、秋のいずれも制し、「道内常勝」の北海を印象づけた。16強入りした昨夏から主力4人が残り、平川敦監督は「甲子園経験がある選手が多いのは強み」と自信をのぞかせる。

 課題は「投手陣の踏ん張り」(平川監督)。昨秋は内野手の金沢光流主将(3年)に背番号1を与え、投手陣に「エースをつかみ取れ」と鼓舞した。昨秋は背番号11の右腕・松田収司(2年)が全道大会決勝を投げきって一本立ちした。松田は続く明治神宮大会でも関東王者の作新学院を相手に九回無失点の好投を見せ、エース格への成長を見せた。

 1885年創立の私立。夏は全国最多40回の出場。卒業生に野球殿堂の若松勉さん(元ヤクルト)ら。(佐々木洋輔)

 ■愛工大名電(愛知、12年ぶり10回目)

 投手陣が充実している。左腕エースの大泉塁翔は最速144キロの直球を軸に、昨秋の公式戦は2試合で完封するなど防御率1・08と安定。打率は5割超と投打の柱だ。右腕の伊東尚輝も140キロ台中盤の速球とキレのあるスライダーが持ち味。左腕の古谷龍斗や、2年の礒田桜士朗と岩田知樹も力がある。

 チーム打率3割9分3厘の打線は迫力十分。中軸に座る石見颯真、石島健、宍戸琥一は、本塁打も期待できる長打力を持つ。昨秋は愛知県大会で優勝したものの、東海大会決勝は豊川との同県対決で競り負けた。2季連続となる甲子園に向け、冬場は守備力の強化を図った。

 選抜大会は2012年以来で節目の10回目。19年ぶり2度目の頂点を狙う。(渡辺杏果)

 ■報徳学園(兵庫、2年連続23回目)

 春夏合わせて38回目の甲子園だ。準優勝した昨春の選抜大会のメンバー7人が残る。2002年以来3度目の優勝をめざす。

 昨秋の兵庫県大会で優勝し、近畿大会では準々決勝で大阪桐蔭に3―4で惜敗。昨秋の公式戦では計10試合で失策4と、伝統の堅い守りを引き継いでいる。

 投手陣は身長188センチで最速150キロの今朝丸裕喜、多彩な変化球を操る主将の間木歩の両右腕が引っ張る。2人とも、昨春の選抜決勝のマウンドに立った経験が生きてきそうだ。

 打線は昨春の選抜でも決勝打を放った西村大和、長打力のある斎藤佑征、50メートル5秒9の福留希空(のあ)らが牽引(けんいん)。間木は昨秋の公式戦打率が4割6分2厘で、チーム一を誇る。(森直由)

 ■日本航空石川(石川、4年ぶり3回目)

 2003年の学校設立と同時に創部。春夏通じて5回目の出場をつかんだ。

 昨秋は粘り強さを発揮した。石川県大会は準優勝だったものの、明治神宮大会を制した星稜を相手に2点差の九回に追いつきタイブレークに。北信越大会の準決勝では敦賀気比(福井)に惜敗したが、3点差からタイブレークに持ち込んだ。

 逆境にも屈しない打線は長打力のある荒牧拓磨と河田拓斗が中軸を担い、下位打線も勝負強い。投手は猶明(ゆうめい)光絆、蜂谷逞生(たくま)、長井孝誠の2年生が三本柱として成長した。

 能登半島地震で校舎や寮などの施設が使えず、一時的に山梨県の系列校へ拠点を移した。教室の段ボールベッドで寝泊まりする厳しい環境も「団結力が高まった」と前を見据えている。(斎藤孝則)

 ■常総学院(茨城、3年ぶり11回目)

 昨秋の茨城県大会を制し、関東大会は4強に進出した。選抜大会には3年ぶり11回目の出場となる。

 秋の公式戦でチーム打率は3割4分3厘。「自分を犠牲にしてでもつなぐ野球」で下位打線まで切れ目がない。2本の本塁打を放った4番武田勇哉や捕手の片岡陸斗、主将の若林佑真が中軸を担う。いずれも打率が4割前後で、昨夏の茨城大会でも先発に名を連ねていた。

 投げては最速149キロ右腕小林芯汰がエースとしてチームを引っ張る。斎藤一磨や平隼磨といった控え投手にも厚みがあり、継投で試合を作る。

 1983年創部。甲子園は春夏1回ずつ優勝経験がある。プロ野球の横浜(現DeNA)などで活躍した卒業生の島田直也監督が率いる。(富永鈴香)