第96回選抜高校野球大会の組み合わせ抽選会が8日、大阪市内であり、出場32校の1回戦の対戦相手が決まった。 第1日(18日)は八戸学院光星(青森)―関東第一(東京)、田辺(和歌山)―星稜(石川)、近江(滋賀)―熊本国府の顔合わせとなった。…

 第96回選抜高校野球大会の組み合わせ抽選会が8日、大阪市内であり、出場32校の1回戦の対戦相手が決まった。

 第1日(18日)は八戸学院光星(青森)―関東第一(東京)、田辺(和歌山)―星稜(石川)、近江(滋賀)―熊本国府の顔合わせとなった。6校の横顔を紹介する。

 ■八戸学院光星(青森、5年ぶり11回目)

 選抜大会では、2012年に準優勝。当時から「強打の光星」と呼ばれ、昨夏の全国選手権大会も長打力を生かして8強入りした。

 だが、この春について仲井宗基監督は「投手力が中心。リニューアルした光星の野球を展開したい」と話す。

 自慢の投手陣は、左腕3人を擁する。直球で押すエース洗平(あらいだい)比呂(3年)は夏の甲子園を2年連続で経験し、マウンド度胸も買われている。速球に切れのある岡本琉奨(るい)(同)、変化球がさえる森田智晴(同)も頼もしい。

 攻撃は、昨秋の公式戦で11打点を挙げるなど勝負強い山本優大(同)、巧打の三上祥司(同)が軸だ。昨夏の甲子園大会で1番打者を務めた砂子田陽士主将は(同)「打線がかみ合えば、どこにも負けない」と言い切る。(渡部耕平)

 ■関東第一(東京、8年ぶり7回目)

 春夏合わせて15回目の甲子園出場の強豪だが、選抜大会は8年ぶり。昨秋の東京都大会を制し、明治神宮大会では3連覇を狙った大阪桐蔭を破って4強入りするなど、実力は十分だ。

 チームの中心は、左右の二枚看板だ。右腕・坂井遼(はる)は最速145キロの速球が強み。制球力のある左腕・畠中鉄心は昨秋6試合で防御率0・77を誇る。

 攻撃面も光る。昨秋の11試合でのチーム打率は3割8分6厘。起点となるのは、打率5割の飛田優悟、4割超の坂本慎太郎の1、2番コンビだ。チーム全体で19盗塁を決めるなど機動力もある。高校通算で40本以上の本塁打を放った主将の高橋徹平、大阪桐蔭戦で本塁打を放った熊谷俊乃介らには長打力もあり、打線は切れ目がない。(宮脇稜平)

 ■田辺(和歌山、76年ぶり3回目)

 学校創立は1896(明治29)年で、国公立大学に毎年約100人が現役合格する進学校。選抜大会出場は1947、48年以来3回目で、今回は21世紀枠で選ばれた。

 昨秋の県大会では、市和歌山、智弁和歌山の強豪校を続けて破った。近畿大会は、1回戦で京都国際にタイブレークの末、2―3で敗れた。

 昨秋の公式戦7試合でエース右腕の寺西邦右(ほうすけ)(3年)は6完投、防御率1・63と安定した投球を見せた。4番の山本陣世(同)は打率5割、2本塁打、10打点で打線を引っ張った。

 田中格監督はカウンセラーと連携しながら、選手との対話を重視したチームづくりをしている。(下地達也)

 ■星稜(石川、2年ぶり16回目)

 能登半島地震でグラウンドがひび割れ、一時は練習で使えなくなった。苦境を乗り越え、2年ぶりの選抜大会に臨む。山下智将監督は「チームのまとまりが強み」と言う。

 昨秋は石川県大会と北信越大会を制した。さらに明治神宮大会も優勝した。

 投手陣は神宮大会の決勝で完投した左腕・佐宗翼や右腕・道本想らがそろって盤石だ。守備は内外野をよく見て動く遊撃手の吉田大吾が軸。主将の芦硲晃太や神宮大会で3安打2本塁打を放った萩原獅士(れお)らが攻撃の流れを作る。

 1962年に創部し、甲子園には今回が春夏で38回目の出場(コロナ禍で中止になった2020年春を含む)。卒業生に松井秀喜さん(元ヤンキース)ら。(小崎瑶太)

 ■近江(滋賀、2年ぶり7回目)

 1957年創部。春夏通じて24回目の甲子園出場となる。選抜大会は準優勝した2022年以来、2年ぶり。滋賀県は近畿で唯一、春夏ともに優勝経験がなく、悲願達成をめざす。

 昨秋の県大会を4年ぶりに制した。近畿大会では、最速143キロのエース西山恒誠が、初戦で興国(大阪3位)をわずか76球で完封。準々決勝は京都国際(京都2位)に0―1で惜敗したが、1人で投げきった。

 投手陣は好左腕の河越大輝も控える。投手を中心とした堅守と、バットを短く持った手堅い打撃が特徴だ。

 卒業生には山田陽翔(西武)らがいる。サッカー部は、今年の全国高校サッカー選手権大会で初めて準優勝した。(仲程雄平)

 ■熊本国府(熊本、初出場)

 創部18年目で春夏通じて初めての甲子園だ。1941年に熊本女子商業学校として創立し、95年に男女共学になった。

 昨秋の熊本県大会では逆転に次ぐ逆転で頂点に立つと、続く九州大会では神村学園、明豊といった甲子園経験校を次々と破って優勝を決めた。

 投手陣は、多彩な変化球を駆使する右腕・坂井理人と、変則左腕の植田凰暉の二本柱。打たせてとる2人をバックの堅守が支える。長打力のある内田海が、2年生ながら中軸に入る。

 就任3年目の山田祐揮監督は31歳で、選手たちと体を動かしながら教える。

 熊本女子商時代の卒業生に「あさりちゃん」などの漫画家・室山まゆみさん。(杉浦奈実)