第96回選抜高校野球大会の組み合わせ抽選会が8日、大阪市内であり、出場32校の1回戦の対戦相手が決まった。 第4日(21日)は宇治山田商(三重)―東海大福岡、広陵(広島)―高知、京都国際―青森山田の顔合わせとなった。6校の横顔を紹介する。…

 第96回選抜高校野球大会の組み合わせ抽選会が8日、大阪市内であり、出場32校の1回戦の対戦相手が決まった。

 第4日(21日)は宇治山田商(三重)―東海大福岡、広陵(広島)―高知、京都国際―青森山田の顔合わせとなった。6校の横顔を紹介する。

 ■宇治山田商(三重、16年ぶり2回目)

 1908年創立で、野球部も百年以上の歴史を持つ伝統校だ。甲子園初勝利を挙げた2008年以来2回目の出場で、地元・伊勢市は盛り上がりを見せる。

 投手陣は、タイプの違う3右腕が柱となる。制球力を備える田中燿太、140キロ超の直球とキレの良い変化球が持ち味の中村帆高、2年生の加古真大は強気な投球で攻める。リードする2年生捕手・小泉蒼葉は、強肩が光る守りの要だ。

 東海大会では4強入り。豊川(愛知)との準決勝は、九回までリードして優勝校を苦しめた。強打者はいないものの、犠打を絡めて全員で「つなぐ野球」が強み。打率5割の泉亮汰を中心に、ミート力のある打者がそろう。(菊地洋行)

 ■東海大福岡(福岡、7年ぶり3回目)

 7年ぶり3回目の春の甲子園。2017年の前回出場時の8強を超える4強以上を目標に掲げる。

 4強入りした昨秋の九州大会の初戦では、4点を追う九回2死から追いつき、延長十回に勝利。福岡県大会も含め、粘り強さが光った。

 打線は4番の藤本塁守(るいす)は昨秋2本塁打。主に7番を打つ主将の井上和翔は打率4割超など、下位でも得点できる。守りでは、187センチの長身から最速140キロ超の直球を投げ下ろす佐藤翔斗の出来がカギを握る。

 1966年創立の私立。就任3年目、37歳の中村謙三監督は同校(当時は東海大五)出身で「出場を逃した他の東海大付属高の思いも背負って戦う」という。(興津洋樹)

 ■広陵(広島、3年連続27回目)

 創部は1911年で、選抜大会は3年連続27回目の出場となる。昨年の甲子園では春、夏ともに優勝校に敗れたものの、投打とも完成度が高かった。中国地区では、2022年9月から公式戦負けなしだ。

 チームを支えるのは、最速140キロ台後半の直球とスライダーが持ち味のエース高尾響と、4番で捕手の主将・只石貫太。昨年の甲子園でも、バッテリーを組んだ経験がある。中井哲之監督は「2人とも強気。引っ張ってもらいたい」と信頼を寄せる。

 上位打線の浜本遥大、土居湊大には長打もある。投手陣では、昨秋の中国大会決勝で創志学園(岡山)に4安打完投した2年生の堀田昂佑らが控える。(根本快)

 ■高知(高知、3年連続21回目)

 3年連続21回目の出場で、1975年以来の優勝をめざす。

 投手陣はともに3年生で140キロ台半ばの直球と変化球を組み合わせる辻井翔大と、140キロ台後半の速球を投げる平悠真の両右腕が継投で試合をつくってきた。2人とも昨春の甲子園で3試合に登板した。守備陣は冬場も温暖な気候の中で白球を追って鍛えられており、堅守で投手をもり立てる。

 打撃は新基準のバットに対応し、野手の間を抜けるような打球に取り組んできた。1番の筒井海斗は勝負強く長打力がある。谷口隼斗、辻井、2年生の大石来輝で構成する中軸は力強い。

 1899年創立の私立。卒業生に中日の木下拓哉、阪神の森木大智がいる。(鈴木芳美)

 ■京都国際(京都、3年ぶり2回目)

 選抜大会は初出場した2021年以来。22年も出場が決まっていたが、新型コロナウイルスの集団感染で大会直前に辞退した。

 堅守と粘り強さが強みで、準優勝した昨秋の京都府大会は計7試合で3失点にとどめた。続く近畿大会は2試合連続でサヨナラ勝ちし、4強入りした。

 最速140キロ超の左腕中崎琉生(るい)がチームの柱。切れ味鋭いスライダーなど多彩な変化球がさえ、府大会と近畿大会で62イニングを投げ52三振を奪った。

 中崎を支えるのは、強肩の捕手・奥井颯大や軽快な守備が持ち味の内野手・藤本陽毅。打撃の中心は沢田遥斗で広角に打てる。高岸栄太郎は長打力がある。

 04年の開校。卒業生に広島の曽根海成らがいる。(西崎啓太朗)

 ■青森山田(青森、8年ぶり3回目)

 東北大会で優勝。その勝ちっぷりが見事だった。

 準決勝は、変化球がさえる関浩一郎が12奪三振で完封。決勝は、直球に伸びがある桜田朔が無安打無得点試合を達成。この3年生の両右腕が、試合の鍵を握る。

 打線も、そつがない。新チームになってから打率4割超の2年生・佐藤洸史郎らが出塁し、9試合で12打点と勝負強い原田純希(3年)がかえす展開を得意とする。

 橋場公祐主将(3年)は「関と桜田を中心に堅く守り、攻撃で手堅く1点を取るのが自分たちのスタイル」と自信をのぞかせる。

 選手の多くは青森山田中学時代、硬式野球の全国大会で優勝した経験を持つ。「高校でも日本一に」が合言葉だ。(渡部耕平)