能登半島地震で被害が出た石川県から第96回選抜高校野球大会(18日開幕、阪神甲子園球場)に出場する日本航空石川の合宿が4日、徳島県阿南市桑野町のJAアグリあなんスタジアムで始まった。地元の住民たちが横断幕を掲げ、選手たちを温かく出迎えた。…

 能登半島地震で被害が出た石川県から第96回選抜高校野球大会(18日開幕、阪神甲子園球場)に出場する日本航空石川の合宿が4日、徳島県阿南市桑野町のJAアグリあなんスタジアムで始まった。地元の住民たちが横断幕を掲げ、選手たちを温かく出迎えた。

 選手たちは元日の地震後、系列校がある山梨県に移って1月19日に練習を再開。選抜に向けて最後の調整をするため、選手やマネジャー、スタッフら総勢35人が3日夜、阿南市入りした。「野球のまち」を掲げる市では、北信越地区から選抜に出場する学校の合宿を長年受け入れている。

 4日朝、選手たちは近くの旅館から元気よくランニングをして球場へ。入り口では、地元住民らでつくる桑野地域振興協議会のメンバーや市職員ら十数人が「目指せ頂点!」などと書かれた横断幕を掲げ、選手たちを出迎えた。

 宝田一慧(ほうだいっけい)主将は「すばらしい練習環境を用意していただき、ありがとうございます。しっかり練習し、大会でいい結果を残せるように頑張る」と決意を語った。住民たちからは「応援しています。頑張ってください」と声援が飛んだ。

 穏やかな晴天の下、選手たちは早速、整備されたグラウンドで走り込んだり、キャッチボールをしたりした。同協議会の西野明会長(66)は「一生懸命野球に打ち込む姿を見られてうれしい。練習に集中できるように、しっかり支えたい」と笑顔で話した。

 中村隆監督によると、選手たちは地震直後、「野球をやっていいのかという葛藤を抱えた」様子だったという。2月中旬に選手全員が移転先の山梨県にそろい、少しずつ明るさを取り戻したという。「野球をやることで、選手たちの思いがつながり、今は選抜大会に向けて頑張るぞ、という気持ちになってきている」と話す。

 合宿は8日まで。徳島県内の高校と練習試合をしながら調整し、大会に備える。(吉田博行)