国内のシクロクロスのリーグ戦であるJCXシリーズの今季最終戦「関西シクロクロス 二色の浜グランプリ」が2月11日、大阪府貝塚市の二色の浜公園ならびに二色の浜海水浴場を舞台に開催された。このレースはJCF(日本自転車競技連盟)シリーズのレース…

国内のシクロクロスのリーグ戦であるJCXシリーズの今季最終戦「関西シクロクロス 二色の浜グランプリ」が2月11日、大阪府貝塚市の二色の浜公園ならびに二色の浜海水浴場を舞台に開催された。このレースはJCF(日本自転車競技連盟)シリーズのレースとしても位置付けられ、最終戦となっている。それぞれのリーグの今季のランキングが確定する重要なレースである。

大阪南部に位置する二色の浜は、春から初夏までは潮干狩りが人気のお出かけスポット。夏は海水浴でにぎわうビーチとなる。この海水浴場でシクロクロスレースが開催されるのは、今回が初めてだ。
コースは、二色の浜海水浴場と、隣接する二色の浜公園の松林を組み合わせたエリアに設定された。前半は、松林の間を縫うように走り、後半は、海水浴場の砂浜の中を走る。テクニックと、砂区間を乗り切るパワーが重要になると予想された。バイクを担いで上がる階段はあれど、大きなアップダウンはない、ほぼ平坦の設定だ。



海水浴場と松林を組み合わせ、設計されたコース。平坦だが、難所が含まれ走りごたえのあるコースに仕上がっている

曇天の下、女子エリートが開催された。好スタートを切った鵜飼 知春(and more)を先頭にいっせいにスタート。石田唯(TRKWorks)が、ぐんぐんと加速し、ホールショットを取ると、そのままの勢いを保ち、先頭でコースに飛び出して行った。ここに大蔵こころ(早稲田大学)が付き、ひとりで石田を追う。



鵜飼知春(and more)を先頭に女子エリートがスタート

大倉は、すぐ後ろにつけ、視界に入る距離を保ち、石田を追うものの、この差が詰まらない。石田は難所である砂区間も力強くペダルを踏み込みながら、淡々と走り、先頭を譲らない。大倉は、じわじわと離されて行った。



ホールショットを取った石田唯(TRKWorks)が単独で先頭を行く



大蔵こころ(早稲田大学)は石田のすぐ後ろに付け、その差を詰めるべく走る

石田は乗車が難しい区間はさらりとバイクから降り、押して走り、ロスなく先行して行く。



淡々と先頭を走り続け優勝を飾った石田。終始ペースが緩むことはなかった

石田は一度もトップを譲ることなくそのまま独走でフィニッシュ。2位以下に大差をつけての優勝となった。琵琶湖に続く勝利である。



優勝した石田、2位の大倉、3位の鵜飼。石田と大倉は、JCX、JCFシリーズでも表彰台に上がる好成績を収めた

2位には大蔵、3位には鵜飼が入った。

JCXシリーズの総合優勝は渡部春雅(明治大学・このレースは欠場)が決めていた。石田は2位を確定させ、3位に大蔵が入った。

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【結果】
関西シクロクロス 二色の浜グランプリ
女子エリート

1位/石田唯(TRKWorks)50:34
2位/大蔵こころ(早稲田大学)+2:42
3位/鵜飼知春(and more)+3:49

【JCXシリーズ年間総合ランキング・女子】
総合優勝/渡部春雅(明治大学)1,000点
2位/石田唯(TRKWorks)920点
3位/大蔵こころ(早稲田大学)700点
4位/小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)620点
5位/鵜飼知春(and more)570点

【JCFシリーズ総合成績・女子】
1位/渡部春雅(明治大学)
2位/石田唯(TRKWorks)
3位/大蔵こころ(早稲田大学)

※男子エリートの結果は次のページへ→

続いて、エリート男子が開催された。
注目は、長く在籍したチームをこのレースを最後に移籍する小坂光(宇都宮ブリッツェン)が、どのような走りを見せるか、だった。



小坂光(宇都宮ブリッツェン)を先頭に男子エリートがスタート

小坂は、キレのよいスタートを切り、最初に第1コーナーへと飛び込んだ。JCFシリーズで首位を走る副島達海(大阪産業大学)が先行し、U23の全日本選手権優勝経験を持つ横山航太(ペダル)が追う。ここに小坂が合流し、加藤健悟(臼杵レーシング)と4名の先頭集団を形成した。



副島達海(大阪産業大学)、横山航太(ペダル)、小坂、加藤健悟(臼杵レーシング)が先頭集団を形成

現在は全日本の監督も務めるベテラン竹之内悠(/slash Cinelli -Vision)が追い上げ、一時、この集団に合流する局面もあったが、先頭は再び4名に。この4名は、好ペースを刻み、先頭を守り続けた。



竹之内悠(/slash Cinelli -Vision)が追い上げるシーンも

ここから小坂が抜け出し、先行するが、横山と副島は、これを許すまじと追い上げた。砂区間で失速した小坂を、横山と副島がパスし、先頭に出ると、2名の先行態勢に入った。小坂と加藤は先頭2名を追う。



小坂が抜け出し、先行、トップを走る。横山らが必死に食らいついた

最終周回に入ると、副島がアタック。横山は、ここに食らいつけず、副島が単独で先行する。
副島は、そのままホームストレートに飛び込むと、拍手と歓声の中、トップでフィニッシュラインを越えた。



副島が、横山を振り切り、最終レースで勝ち星を上げた



僅差でハンドルの投げ合いとなった3位争いのスプリント勝負は小坂に軍配が上がった

2位には僅差で横山が入り、3位は加藤と小坂のスプリント勝負に。見事に振り切った小坂が入り、表彰台を確保した。



優勝した副島、2位の横山、3位の小坂の表彰台

日本のトップシクロクロッサーとして、シクロクロス界を牽引してきた小坂は、最後は足がつる中でのスプリントだったという。拠点を置く宇都宮を離れ、来年度から、ロードは松山の新チームに移籍するが、シクロクロスは、新しい体制でのエントリーを模索しているようだ。「これからもシクロクロスが大好きなので続けていきたいと思います」と前向きな抱負を語っている。

男子のJCXシリーズは、今季負けなしの大活躍だった織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム・このレースは欠場)が早々に総合優勝を決めていた。次点には副島が付け、3位は柚木伸元(日本大学・このレースは欠場)となった。



JCXシリーズの入賞者たち

この後も、それぞれのレース開催地域で、主にホビーレーサーを対象としたレースは開催されるが、トップリーグのレースは、これで終了となり、今季のシクロクロスシーズンは、ほぼ幕を下ろすことになる。選手たちは、それぞれの所属リーグへと戻り、ロードやMTBのレースに参戦していく。今季は大学生など、若手選手の躍進があった。来季はどのような選手たちが活躍してくれるのか、楽しみだ。

画像:Satoshi ODA

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【結果】
関西シクロクロス 二色の浜グランプリ
男子エリート

1位/副島達海(大阪産業大学)59:13
2位/横山航太(ペダル+0:01
3位/小坂光(宇都宮ブリッツェン)+0:28
4位/加藤健悟(臼杵レーシング)+0:28
5位/竹之内悠(/slash Cinelli – Vision)+0:39

【JCXシリーズ年間総合ランキング・男子】
総合優勝:織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)1,000点
2位:副島達海(大阪産業大学)840点
3位:柚木伸元(日本大学)720点
4位:沢田時(宇都宮ブリッツェン)620点
5位:鈴木来人(OnebyESU-ICV)610点

【JCFシリーズ総合成績・男子】
1位/副島達海(大阪産業大学)
2位/織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)
3位/柚木伸元(日本大学)

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【JCXシリーズ2023-2024・レポート】
第8戦・愛知牧場
第6戦・関西シクロクロス 琵琶湖グランプリ
第5戦・スーパー野辺山クロスday2
第4戦・スーパー野辺山クロスday1
第3戦・幕張クロス
第2戦・わたりラウンド