高校に入るまでは野球少年でした。ポジションは捕手か一塁手。中学時代からひじを痛めていて、高校入学時にはまともに球を投げられなくなりました。 治すには手術をしないといけない。だったら、もう野球はやめようと思いました。先生に言いに行ったら、ち…

 高校に入るまでは野球少年でした。ポジションは捕手か一塁手。中学時代からひじを痛めていて、高校入学時にはまともに球を投げられなくなりました。

 治すには手術をしないといけない。だったら、もう野球はやめようと思いました。先生に言いに行ったら、ちょうどそこにラグビー部の監督がいました。猛アプローチを受けた末に入部を決めました。

 ラグビーをやってみると、元々抱いていたイメージとは違いました。ただ正面からぶつかるだけじゃなく、いろんな戦術やサインプレーなどが複雑で「結構面白いスポーツだな」と。

 ただ、1年生の夏合宿を終えた時には、練習がきつ過ぎてもう高校までで絶対にやめようと思ったんですけどね(笑)。それでも、プレーを見た大学から誘いをもらって、あれよあれよと、ここまで続けることになりました。今では良い選択だったと思っています。

 大卒3年目となる今季、挑戦していることがあります。慣れ親しんだ3番(右プロップ)から1番(左プロップ)への転向です。今季の始動前、長谷川慎コーチから提案されました。「1番が向いているんじゃない?」と。スクラムで押し合う時、FW第1列の1番がぶれずに安定していると、相手にプレッシャーをかけやすくなります。

 1番は、きれいな姿勢のまま胸を張って前に移動できる自分の強みがより生きる場所だと感じます。ここ最近、やっとしっくりくるようになってきました。

 昨季に比べて先発で起用してもらえる機会は増えました。とは言え、日本代表のトレーニングスコッド(候補選手グループ)に自分の名前があったことには、びっくりしました。

 今月上旬に福岡市であった合宿では、日本代表のエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチとの一対一の面談がありました。「ポテンシャルを感じる」と言われ、特に体格やディフェンス面で評価してもらえたようです。

 代表なんて、昔はただの憧れというか、手の届かないものだと思っていました。もちろんまだまだ足りないことは多いですが、そこを潰していけば、一段ずつ階段をのぼっていけば、代表のステージにいつか届くという自信が芽生えてきました。

 今回は、試合に向けた本格的な選手選考ではありませんでした。でもいつか、戦力として日本代表に選ばれたい。今はそこをめざして、がんばっています。(構成・松本龍三郎)

 もはら・たかよし 2000年生まれ、群馬県出身。高崎工高1年時、ひじのけがで野球を断念。ラグビー部の監督に勧誘され、競技を始める。中大では主将を務めた。22年に静岡ブルーレヴズへ加入。ポジションはプロップ。身長187センチ、体重116キロ。