3月2日(土)、阪神競馬場で3歳牝馬によるGⅡチューリップ賞(芝1600m)が行なわれる。1月の菜の花賞を勝ったミラビリスマジック photo by 東京スポーツ/アフロ このレースは、4月7日に開催される牝馬クラシック第1弾・GⅠ桜花賞…

 3月2日(土)、阪神競馬場で3歳牝馬によるGⅡチューリップ賞(芝1600m)が行なわれる。


1月の菜の花賞を勝ったミラビリスマジック

 photo by 東京スポーツ/アフロ

 このレースは、4月7日に開催される牝馬クラシック第1弾・GⅠ桜花賞(阪神・芝1600m)のトライアルレース。コースと距離が桜花賞と同じなため「最重要ステップレース」と位置づけられており、過去10年では2014年のハープスター、2015年のレッツゴードンキ、2016年のジュエラーと、3頭がこのレースをステップに桜花賞を勝利している。

 近年は勝ち馬こそ出ていないが、昨年のチューリップ賞2着から桜花賞で2着に入ったコナコースト、両レースで3着に入ったペリファーニアなど、過去6年で5頭の桜花賞2着馬、3頭の3着馬が出ており、桜花賞を占う上で見逃せないレースとなっている。そんなレースを血統的視点から占っていこう。

 最近のこのレースの血統的傾向で目立つのが、ディープインパクト系の強さだ。直仔は2014年ハープスター、2016年シンハライト、2019年ダノンファンタジーと3勝。後継種牡馬の産駒では、ミッキーアイル産駒のメイケイエールが2021年に勝利し、ピンハイが2022年に2着。キズナ産駒は2020年にマルターズディオサが勝利し、リアルインパクト産駒はモズメイメイが2023年に勝利している。

 今年の3歳馬にはディープインパクト産駒はいないが、ディープインパクト系は今年も多くの馬が出走予定。中でもキズナが4頭を送り込み、いずれも有力視されている。その中で筆者が本命に推すのはミラビリスマジック(牝3歳、美浦・国枝栄厩舎)だ。

 同馬は12月中山の新馬戦(芝1600m)で勝利し、前走も中山・芝1600mの菜の花賞を勝って2戦2勝でここに臨む。一族の中では唯一、3歳2月の時点で2勝している。キズナの仕上がり早さを受け継いだのだろう。

 菜の花賞の内容は優秀だった。1000m通過58秒5という速めのペースの中、直線ではやや窮屈な位置取りになったものの、他馬をこじ開けるように進路を確保し、ゴール前でグイッと伸びて差し切り。非凡な瞬発力とともにメンタルの強さも証明し、輸送や多頭数などさまざまな課題がある今後のGⅠ戦線を考えると頼もしい限りだ。

 血統も一流だ。母ソーマジックは桜花賞3着馬で、マジックキャッスル(中京・芝2000mのGⅢ愛知杯)、ソーヴァリアント(阪神・芝2000mのGⅢチャレンジCを2回勝利)、ソーダズリング(京都・芝1400mのGⅢ京都牝馬S)と、兄姉3頭が重賞勝ち馬になっている。兄姉はいずれも3歳秋以降に重賞を勝ったため晩成のイメージもあるが、マジックキャッスルは2歳重賞でも2着があり、母もこの時期にオープンのアネモネS(中山・芝1600m)を勝利していた。

 母の父シンボリクリスエスはキズナと抜群の相性を誇り、同じ配合からはソングライン(東京・芝1600mの安田記念などGⅠ3勝)、アカイイト(阪神・芝2200mのGⅠエリザベス女王杯)と2頭のGⅠ馬が出ている。父系、牝系、配合と、どこを取っても文句のない存在だ。

 もう1頭はジャスタウェイ産駒ショウナンマヌエラ(牝3歳、栗東・高野友和厩舎)を推す。7月の新馬戦を逃げ切った後、GⅢ新潟2歳S(新潟・芝1600m)でも2着と逃げ粘り。このレースを勝ったアスコリピチェーノが後のGⅠ阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・1600m)を勝っており、相手を考えると評価できる内容だった。

 前走のGⅢアルテミスS(東京・芝1600m)は5着に敗れているが、12kg増の馬体重で、完調ではなかったのだろう。今回は桜花賞の出走権利もかかるので、目一杯仕上げてくるはずだ。

 4代母スカーレットインクから広がる一族は日本を代表する名牝系のひとつで、桜花賞馬ダイワスカーレットや皐月賞馬ダイワメジャー、ダートチャンピオンのヴァーミリアンが出ている。ダイワスカーレット以外にも桜花賞2着のブルーリッジリバー、同3着のダイワルージュ、エリザベス女王杯2着のライラックなど、牝馬の活躍馬も少なくない。本馬もこれらに続きたいところだ。

 以上、今年のチューリップ賞はキズナ産駒ミラビリスマジック、ジャスタウェイ産駒ショウナンマヌエラの2頭に期待する。