2月25日に福岡・国営海の中道海浜公園の特設コースで、日本選手権クロスカントリー(日本選手権クロカン)が開催された。早大からは、昨年同大会で11位になった山口智規(スポ2=福島・学法石川)がシニア10㎞に出場。コンディションは…

 

 2月25日に福岡・国営海の中道海浜公園の特設コースで、日本選手権クロスカントリー(日本選手権クロカン)が開催された。早大からは、昨年同大会で11位になった山口智規(スポ2=福島・学法石川)がシニア10㎞に出場。コンディションはあまり良くないとしながらも、序盤から実業団選手が形成する先頭集団で周囲の様子を窺(うかが)い、危なげなく後半に突入。終盤に入り、けん制状態となった先頭集団で先手を打った山口は、コースの起伏部分でスパートにかかると、ラストの直線ではOBの井川龍人(令5スポ卒=現旭化成)と一騎打ちに。このデッドヒートを制した山口は、見事29分16秒のタイムで優勝。そして、日本陸上選手権(日本選手権)10000メートルの出場権を獲得し、世界クロスカントリー選手権大会(世界クロカン)の代表入りが有力となった。


1位でゴールテープを切る山口

(記事 草間日陽里、写真 和田悟志氏提供)

▽シニア男子10キロ

山口 29分16秒(1位)

コメント

山口智規(スポ2=福島・学法石川)

――優勝した時の率直な感想をお願いします

 狙っていた大会だったので、優勝できて嬉しさよりもほっとしている気持ちの方が大きいです。

――実業団の選手を押さえての優勝という面ではいかがですか

 スタートリストが出たタイミングで優勝が狙えるのではないかなとは思っていたので、その中で勝つことができて良かったです。

――設定タイムはありましたか

 調子が悪かったので、28分台はきついかなと思っていたのですが、29分10秒くらいのレースになれば(優勝の)チャンスはあるかなと思っていました。

――実際のタイムを振り返っていかがですか

 タイムは納得のいくものでした。タイムよりも勝ち切れたことの方が良かったです。

――今回の大会はどのような位置付けだったのでしょうか

 日本選手権10000メートルも出たいなと思っていたので、タイムを出すというよりここで一回勝って出場した方が自分の経験としてもプラスになると思いました。3月にはハーフ(ニューヨークシティハーフマラソン)があって難しい日程になっているのですが、クロカンの10キロというアプローチで、5000メートルにもハーフにも対応できるようにという位置付けで走りました。

――花田勝彦駅伝監督(平6人卒=滋賀・彦根東)からレースについて具体的なお話などはありましたか

 コンディションを見ながら、調子もあまり良くなかったので落ち着いていこうということは言われていました。

――レースプランがあったら教えてください

 (レースの)最後に実践した刺すイメージ(スパート)というものしか無かったです。

――終盤までは特にプランなく進めていたということでしょうか

 そうですね。集団の中でレースを進めることを意識していました。

――改めてご自身の走りを振り返っていかがですか

 優勝を狙っていたので優勝できたというのは良かったですし、このようなタフなレースは苦手としていたので、(優勝できたことは)相当自信につながりました。

――レース中に意識していた位置取りや選手はいらっしゃいますか

 坂東さん(悠汰・富士通)と井川さんが強いなと思っていたので、2人のポジションは常に意識していました。

――最後の井川選手との優勝争いを振り返っていかがですか

 井川さんとは、あまり速くないペースだったら優勝争いになりそうだねとはレース前に話していたので、実際にそのようになって良かったです。

――ラストの一騎打ちというのは想定していたということでしょうか

 そうですね。多分お互いに想定していたと思います。

――起伏のある部分でスパートをかけていらっしゃいましたが、スパートをかけるポイントは決めていたのですか

 いえ、決めてはいなかったです。自分の余力と相談しながらのあの地点でのスパートになりました。最後一回の単発のスパートだったら井川さんに勝てなかったと思うので、思い切ってあの地点で行くしかなかったです。

――スパートした地点ではまだ余力があったということでしょうか

 そうですね。余力はあったのですが、実際に出たらきつかったです。

――ご自身のアップダウンの耐性についてはいかがですか

 (東京箱根間往復大学駅伝競走の)2区を走ることができたのでアップダウンはある程度克服できているのかなと思います。後は風が苦手だったので前に出て(風よけに)使われないようにしようというのは考えていました。

――当日の風を含めコンディションなどはいかがでしたか

 若干風は気になりましたが、芝のコンディションも良くて、割と走りやすいレースでした。

――普段から起伏のあるコースの練習などは行ったりしているのですか

 そうですね。そこはジョグから常に意識して取り組んでいます。

――昨年よりタイムを1分程上回った要因などはどのようにお考えですか

 根本的に力がついたということもあるのですが、2回目という経験も大きかったなと思います。

――タフなレースでも力を発揮されたということで、改めてご自身の走りの強みはどのようなところだとお考えですか

 きつくなってからの粘り強さが一番の強みだと思っています。

――「ワセダから世界へ」を体現すべくご自身に必要な力は何だと思われますか

 今の力を出せば日本代表になれるかなとは思うのですが、世界と勝負するためにはスプリント能力に磨きをかけなければいけないと思っています。

――クロカンのような特殊なコースでの走りは、トラックでの走りのどのような部分に活きてくるとお考えですか

 レース中のペース変動で足を使ってしまうところを、余裕を持って走れるようになるところが一番つながる部分だと思います。

――日本選手権10000メートルでの目標はありますか

 正直26分台くらいのレースになってしまったら、勝ち目がないかなと思うのですが、27分半くらいのわりと速くないようなレースになったらチャンスはあると思っています。チャンスがあれば上を狙っていきたいのですが、入賞は確実にしたいです。

――世界クロカンの日本代表についてはいかがですか

 初めての日本代表ということで非常にうれしいのですが、多分行っても勝負できないので、そこは覚悟を持って行きたいと思っています。これからの自分の経験としてこのレースは大事にしたいです。

――3月にはニューヨークシティハーフマラソンと世界クロカンなど海外での大会が続きますが、その点についてはいかがですか

 わりと連戦になってしまっているので、ニューヨークハーフはあまり狙わないかなと思っています。世界クロカンにしっかり勝負できるように準備していきます。トラックシーズンはまだ未定ですが、疲労を見ながらやっていきたいです。