早田との攻防で圧倒した孫穎莎。そのパフォーマンスは中国の大会6連覇に小さくない影響をもたらした。(C)Getty Images 日本列島をも大いに沸かせた激闘は、世界的名手にも大きな刺激となった。 現地時間2月24日に韓国・釜山で世界卓球選…

早田との攻防で圧倒した孫穎莎。そのパフォーマンスは中国の大会6連覇に小さくない影響をもたらした。(C)Getty Images

 日本列島をも大いに沸かせた激闘は、世界的名手にも大きな刺激となった。

 現地時間2月24日に韓国・釜山で世界卓球選手権の女子団体戦の決勝が行なわれ、世界団体ランク1位の中国が、同2位の日本を3-2で下し、前人未到の6連覇を成し遂げた。

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 およそ3時間半にも及んだ「釜山の死闘」。完敗を予想する声も少なくなかった試合前の下馬評を覆した日本が中国に食い下がり、一時は王手をかけるまで追い込んだ攻防戦は国内外で絶賛されるドラマチックな内容だった。

 土俵際に追い込まれた中国を救ったのは、世界ランク1位の名手・孫穎莎だ。

 第1試合で15歳の張本美和にストレート勝ちを収めていた孫穎莎は、第2試合で陳夢が、第3試合で王芸迪がともに敗れ、王手をかけられた第4試合で早田ひなとの“エース対決”に登場。文字通り負ければ終わりの窮地に追い込まれた局面で、23歳のスーパースターは、日本の大黒柱を圧倒。この一戦で2度目のストレート勝ちを挙げ、流れを大きく手繰り寄せたのである。

 この早田撃破によって傾いた流れが、第5試合に登場した張本に少なからずの重圧となったのは想像に難くない。最終戦で勝利して主役となったのは陳夢だったが、それ以上に孫穎莎の2勝は中国にとって重みがあった。

 試合後に重圧から解放されたのか、孫穎莎は同僚の陳夢とともに涙した。そんな絶対的なエースは中国のスポーツメディア『新浪体育』などの取材で、試合のキーポイントとなった早田とのエース対決を振り返っている。

「第4試合の相手である早田選手は私にとってライバルです。実際、この1、2年で彼女とは多くの対戦機会がありました。なので、まず何よりもコートで楽しむことが1番大事だと思っていました。それが良かったんだと思います」

 勢いは間違いなく早田、そして日本にあった。実際、中国メディアでは「あわや大惨事だった」という声も目立ったほどだ。そんな押しつぶされそうな逆境に「楽しもう」と挑み、相手エースを圧倒した孫穎莎。卓球大国が生んだスターの底知れぬ精神力を目の当たりにする試合だった。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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