準々決勝までストレートで勝ち上がった東日本大学選手権(東日本インカレ)。準決勝では、早大を倒しにかかる明大の雰囲気にのまれ、辛勝した。迎えた決勝は、春季関東大学リーグ戦最終戦で敗北した中大との対戦。「絶対に負けたくないという気持ちがあった…

 準々決勝までストレートで勝ち上がった東日本大学選手権(東日本インカレ)。準決勝では、早大を倒しにかかる明大の雰囲気にのまれ、辛勝した。迎えた決勝は、春季関東大学リーグ戦最終戦で敗北した中大との対戦。「絶対に負けたくないという気持ちがあった」(MB伊藤吏玖副将(スポ4=東京・駿台学園))と、一人一人の「勝ちたい」という思いも一層強かった。立ち上がりは中大に流れをつかまれ、追いかける展開となる。OH山田大貴(スポ4=静岡・清水桜が丘)やOH水町泰杜主将(スポ4=熊本・鎮西)の強烈なサーブで崩し、得点へつなげる場面は幾度も見られたが逃げ切られ、23―25で第1セットを落とした。

 流れを切りたい第2セット、スタートからリベロ荒尾怜音(スポ4=熊本・鎮西)の安定したレシーブを起点に、伊藤がクイックを叩き込む。その伊藤がブロックも決め、序盤から早大がリードを奪った。中盤以降は水町の活躍が光り、長いラリーでの対応力と勝負強さを見せ得点を重ねる。さらにセッター前田凌吾(スポ2=大阪・清風)も多彩な攻撃につなげるトス回しで魅せ、危なげない試合運びで第2セットを奪取した。


山田のスパイク

 セットカウント1-1と勝負は振り出しに戻り、迎えた第3セット。ここでも水町が序盤から得点を量産し、早大が先行する。さらに山田のバックアタックやMB麻野堅斗(スポ1=京都・東山)・伊藤のシャットアウトも決まり、リードを守ったまま試合を進めた。中盤、19-18と一時は中大の追い上げにあったものの、しっかりとタイムアウトを取って自分たちのペースを作り、水町のパイプ攻撃や山田のサービスエースを中心にブレイクを重ねて第3セットを奪った。続く第4セット、序盤は中大が先行する展開となる。OP佐藤遥斗(スポ1=東京・駿台学園)のスパイクや伊藤のクイックなどで追いかけたが、水町が連続でブロックに捕まるなど、一進一退の攻防が続いた。しかし16―17、相手に連続でスパイクミスが生まれたところで潮目が変わる。リベロ布台駿(社4=東京・早実)がディグでチャンスを生み、水町がスパイクを決める。さらに水町がバックアタックで3枚ブロックを打ち抜き、5連続ブレイクに成功。最終局面で逆転すると、前田が山田のサイド、伊藤のミドルと落ち着いて攻撃を組み立て、25-22で勝利。春季リーグ戦のリベンジを果たすと共に、東日本インカレ優勝を決めた。


勝利を決めた瞬間、抱き合う荒尾と前田

 セットカウント3-1(23―25、25―16、25-20、25-22)で勝利し、雪辱を果たした早大。直前まで4年生が教育実習で不在だった中でも、下級生を中心にチームの土台を構築し、試合中もコミュニケーションを取りながら修正する姿からは、早大の修正力や地力の強さをうかがうことができた。優勝という結果だけでなく、「チーム力」の醸成という点でも実りのある大会期間となった。その一方で、準決勝の明大戦のように向かってくる相手に対して引いてしまうという精神面での課題が見えた。水町は「個人のスキル的にはまだまだ足りない」と述べ、秋季関東大学リーグ戦に向けて成長意欲がかきたてられる試合となった。

(記事 山田彩愛、写真 町田知穂、森永芽生)