卓球人生17年間の集大成  女子部唯一の4年生として、さらには女子部主将として、1年間チームを引っ張ってきた里川奈優(スポ4=高知・明徳義塾)。その責任の重さやプレッシャーは計り知れないが、やり遂げた先には確かな成長と達成感があった。「卓球…

卓球人生17年間の集大成

 女子部唯一の4年生として、さらには女子部主将として、1年間チームを引っ張ってきた里川奈優(スポ4=高知・明徳義塾)。その責任の重さやプレッシャーは計り知れないが、やり遂げた先には確かな成長と達成感があった。「卓球人生17年間の集大成」と振り返った4年間に迫る。


 4年生の全日本学生総合選手権(インカレ)でサーブを打つ里川

 母の影響で幼稚園の年長の時から卓球を始めたという里川。早稲田大学卓球部には中学生のころから憧れを持っていた。様々な大学の練習に参加した中でも、早稲田の練習は最も雰囲気がよく、そこから本格的に目指すことを決めたという。

 念願かなって、早稲田大学卓球部への推薦入学を果たしたその年に、新型コロナウイルスによるパンデミックが襲った。楽しみにしていた部活動はこれまで通り実施できなくなり、試合も多くが中止になった。試合がモチベーションだったという里川にとっていきなりの試練。試合が少ないことや、環境の変化によるストレスから、「どれだけ練習しても試合に勝てない時期が続いて本当に苦しかった」という。そんな中、支えとなったのは家族と上級生。相談できる同期がいない分、上級生にたくさん相談し、夜遅くまで練習に付き合ってもらった。

 少しずつ試合が再開となった2021年度。2年生になった里川は1年生の時の悔しさを晴らす活躍を見せ、関東学生選手権ではシングルスでベスト4、ダブルスでベスト8とともにランキング入りを果たした。チームとしても2年ぶりとなるインカレの団体優勝や、女子部初の全日本選手権での団体ベスト4など勢いに乗る。2年生の後半ごろから団体戦でも主力の一人となり、自分の役割を意識するようになったという里川。特に印象に残っている試合は3年生の時の秋季関東学生リーグ戦(秋季リーグ)の専修大学戦だ。春季リーグで負けており、リーグ戦優勝のためには絶対に勝ちたい相手だった。3勝3敗で里川の出番となり、その試合の勝敗が直接チームの勝敗を決することに。緊張する場面で勝ち切り、チームに貢献できてほっとした気持ちが忘れられないという。


 秋季リーグ専修大学戦でガッツポーズを見せる里川

 そして迎えた最後の1年。早い段階で就職先が決まり、大学で卓球を辞める決断をしてからは「全ての試合が最後という気持ちで試合に臨んでいた」という。また主将として、唯一の4年生として、これまで以上にチームに対する自分の1点の重みを感じていた。しかしプレッシャーの中でも、自分の卓球に対する姿勢や気持ちは変わらなかった。引退試合となった1月の全日本選手権大会は「思い出に残る試合ができたので後悔なく、すっきりした気持ちで(卓球人生を)終えられた」という。一方主将になってからチームとの関わり方は大きく変わった。最上級生1人では後輩一人一人に気を配ることが難しいと考え、主将になってからミーティングの量を増やし、コミュニケーションを重視した。その効果はチーム力の強さとして現れ、1年間を通して団体戦での結束力はどんどん強くなっていった。里川自身、1年間キャプテンを務め、成長したところは「リーダーシップと柔軟性」。多様なバックグラウンドを持つ部員をまとめる上で、一人一人の意見を聞いて、どれだけ柔軟に多くの人の意見を取り入れられるか、常に考えていたという。

 5歳で卓球を始め、大学を卒業するまで実に17年間、卓球にかけてきた人生だった。そんな里川にとって早稲田大学卓球部で過ごした4年間は「卓球人生17年間の集大成」だという。卒業後は卓球を辞め、新しい一歩を踏み出すが、その先でも卓球を通して得た多くの経験は里川の中で生き続けることだろう。

(記事 梶谷里桜、写真 谷口花)