しっかり休んだのに疲れがとれずやる気も起きない場合、慢性疲労の状態になっているのかもしれません。慢性疲労症候群を発症すると、疲労や倦怠感によって日常生活に支障をきたします。今回は、慢性疲労症候群の症状や原因と、慢性疲労への対処法をご紹介し…

 しっかり休んだのに疲れがとれずやる気も起きない場合、慢性疲労の状態になっているのかもしれません。慢性疲労症候群を発症すると、疲労や倦怠感によって日常生活に支障をきたします。今回は、慢性疲労症候群の症状や原因と、慢性疲労への対処法をご紹介します。

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1.慢性疲労症候群とは?

慢性疲労症候群とは、動けないくらい疲れがたまっている状態が長期間続く病気です。最大の特徴は、身体的にも精神的にも異常がなく、疲労の原因がわからないことにあります。1988年に診断基準ができた比較的新しい病気であり、1990年代ごろから日本でも症例が報告され、現在も患者数が増え続けています。

慢性疲労症候群の主な症状として、以下が挙げられます。

・微熱、頭痛、のどの痛み
・疲労感
・筋肉痛
・睡眠の不調(過眠や不眠)
・気分の落ち込み

これらの症状が6か月以上続き、普段の生活に支障が出ている場合には注意が必要です。(※1)

2.インフルエンザやコロナ後に発症することも

慢性疲労症候群は、神経系や免疫システムの異常、遺伝子の異常が原因と考えられていますが、まだ原因は解明されていません。

かぜや気管支炎などにかかった後、かぜに似た症状が長引いて発症することが多いといわれています。また、インフルエンザや新型コロナウイルスの感染後に、慢性疲労症候群を発症した事例も多く報告されています。(※2)

通常の検査では異常が見られないため慢性疲労症候群と診断されない場合もあり、実際の患者数は、報告されている数よりも多いと考えられている病気です。

3.慢性疲労への対処法

慢性的に疲労感や倦怠感が続く場合の対処法をご紹介します。

3‐1.病院の受診
疲れや倦怠感が続く場合、内科を受診しましょう。慢性疲労症候群は、あらゆる病気の可能性がない場合に診断されます。

そのため、まずは内科で身体的な病気の可能性を検査し、身体的に問題がなければ、次に心療内科や精神科を受診して精神疾患の可能性を検査する必要があるのです。

身体的な病気や精神疾患が原因ではないとわかって初めて、慢性疲労症候群と診断されます。

慢性疲労症候群は、適切に診断および対処できる病院が限られているのが実情です。受診する際には、慢性疲労症候群の診療経験のある病院なのか、事前に調べておくといいでしょう。

3‐2.生活習慣の見直しやストレスケア
生活習慣の見直しやストレスの発散によって、日々の疲れを回復させることが重要です。

食生活の改善や適度な運動習慣、十分な睡眠を心がけましょう。朝食を摂り、バランスのいい食事を意識することが大切です。ウォーキングやランニングなど、適度な運動はストレス解消にも役立ちます。

また、睡眠は、睡眠時間と睡眠の質の両方が重要です。朝に日光を浴びたり、就寝の1〜2時間前にぬるめの湯船に浸かったりすることで、睡眠の質を上げることができます。また就寝前にはなるべくスマホを見ないようにすることも大事です。

何より、疲れていることに気づくことが重要です。頑張りすぎて休めなくなっているかもしれません。不調のサインを見逃さず、自分のからだを労ってあげましょう。

3‐3.漢方薬
疲労回復には漢方薬の活用もおすすめです。実際に、慢性疲労症候群の治療薬には、主に漢方薬が使われています。

漢方薬は慢性疲労に対して、足りない栄養を補うだけでなく、消化・吸収の機能を改善し、必要なところに栄養を届ける手助けをしていくので、疲れやだるさの根本改善へとアプローチすることができます。

<疲労回復におすすめの漢方薬>

・補中益気湯(ほちゅうえっきとう):胃腸の働きをよくして栄養の吸収を高めることで、疲れや倦怠感の改善をサポートします。

漢方薬は、体質に合うものを選ぶことが重要です。漢方薬を使う場合には、漢方に精通した薬剤師にスマホで手軽に相談でき、自宅まで届けてくれる「あんしん漢方」のようなサービスを利用してみるのもおすすめです。

4.生活習慣を見直して疲れをためないからだを手に入れよう

慢性疲労の状態になってしまうと、思うようにからだが動かず生活に支障をきたす可能性があります。

生活習慣の見直しや漢方薬の活用などにより、疲れをためないことが重要です。休んでも疲れがとれない状態が続く場合には、内科を受診するといいでしょう。

疲れをためず、元気な毎日を過ごしましょう。

参考サイト
(※1)「慢性疲労症候群診断基準」厚生労働省(旧厚生省)
(※2)「慢性疲労症候群に陥るメカニズム」日本医療研究開発機構(AMED)

[文:あんしん漢方]

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<この記事を書いた人>あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師 碇 純子(いかり すみこ)

薬剤師・元漢方薬生薬認定薬剤師 / 修士(薬学) / 博士(理学)
神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。
世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。